iPhone充電コネクタの不具合はなぜ起こる?考えられる原因と修理費用
iPhoneの充電コネクタにケーブルを差し込んだとき、充電が開始されないなどの不具合が見られることがあります。一切の反応が見られず認識しないパターンもあれば、充電したりしなかったりを繰り返すパターンもあり不具合の症状は一様ではありません。
このような充電コネクタの不具合は、何が原因で起こるのでしょうか。また、不具合が現れたときに対処すべきことや気になる修理費用もあわせてご紹介します。
目次
iPhoneの充電コネクタは2種類
日本国内でiPhone 3Gが発売され15年が経過し、これまでiPhoneはさまざまな進化を遂げています。
充電コネクタもそのうちのひとつであり、iPhone 3G(2008年発売)からiPhone 4s(2011年発売)まではDockコネクタが、iPhone 5(2012年発売)からiPhone 14シリーズ(2022年発売)まではLightningコネクタが採用されてきました。
そして2023年秋に発売されたiPhone 15シリーズからは待望のUSB-C端子が採用され、Apple独自規格のLightning端子から大きな方向転換が図られることとなったのです。
ただし、全体的な割合からみればiPhone 14シリーズ以前のユーザーがまだまだ多くを占めており、iPhone 15シリーズへの乗り換えは今後徐々に進んでいきます。すなわち、2024年1月の時点において、ほとんどのiPhoneユーザーの充電コネクタはLightningまたはUSB-Cのいずれかということになります。
iPhoneの充電コネクタの違い
では、iPhoneに採用されている充電コネクタであるLightning端子とUSC-C端子にはどのような違いがあるのでしょうか。
- データ転送速度
- 電力供給の容量の違い
- 並行して電力供給
- 形状の違い
仕様の違いとして挙げられるのは、データ転送速度や電力供給の容量の違いです。Lightningはデータ転送速度が480Mbps、3Aまでの電力供給に対応しているのに対し、USB-Cは最大40Gbpsのデータ転送、5Aの電力供給に対応しています。
また、USB-Cはデータ転送と並行して電力供給を行ったり、電力の供給側と受給側を入れ替えられたりもできる「USB-PD(Power delivery)」に対応していますが、Lightningは非対応という違いもあります。
物理的な端子の違いに目を向けてみると、Lightningはケーブル側がオス、デバイス側がメスの形状であるのに対し、USB-Cはケーブル側がメス、デバイス側がオスという形状になっています。
iPhoneの充電コネクタ不具合の主な症状
iPhoneの充電コネクタに生じる不具合とは、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。代表的な症状のパターンを3つ紹介します。
ケーブルが認識されない
特に多い不具合として挙げられるのが、端子にケーブルを差し込んでも認識されないという症状です。通常、充電器にケーブルを差し込んだ状態でiPhoneの充電端子に接続すると、バッテリーのアイコンが反応し充電開始の音が鳴りますが、一切の反応がなく充電も開始されません。また、PCや外部ストレージなどに接続してデータを転送しようとしても一切の反応が見られません。
充電開始と停止を繰り返す
ケーブルを差し込んだ際に一時的に認識はするものの、充電開始と停止を繰り返すというパターンもあります。
充電開始から停止までの時間やタイミング、頻度も異なり、はじめのうちはほとんど気にならない程度であったとしても徐々に頻度が増えていき、日常使用に支障をきたすことも少なくありません。
充電コネクタにケーブルが差し込めない
端子の物理的な損傷により、ケーブルが差し込めなくなったり充電コネクタから自然と抜けてしまったりすることもあります。
このような問題はケーブル側の損傷が原因で起こることも多いですが、別のケーブルに替えて試してみても症状が同じであればiPhone側の端子に問題が生じている可能性も考えられます。
iPhoneの充電コネクタに不具合が出る原因
iPhoneの充電コネクタに不具合が生じるのはどういった原因が考えられるのでしょうか。代表的な5つのパターンに分けて考えてみましょう。
物理的な衝撃・圧力
特に多い原因として挙げられるのが、iPhoneへの物理的な衝撃や圧力です。たとえば、iPhoneを高い場所から落下させる、コンクリートなど固い面に落とす、誤って踏んでしまうといったケースが考えられ、物理的に大きな力が加わることで充電コネクタが変形しケーブルが差し込めなくなることがあります。
また、端子部分に直接的なダメージはなかったとしても、フレームが変形することで充電コネクタの形状が変わることも少なくありません。
バッテリーの膨張
意外な盲点として挙げられるのが、バッテリーの膨張です。iPhoneに内蔵されているリチウムイオンバッテリーは、充放電の繰り返しや経年劣化によってバッテリーの性能が低下していき、やがて本体が膨張してくることがあります。
膨張したバッテリーは本体内部から外装に強い圧力を加え、その結果本体の一部が浮き上がったりフレームそのものを変形させたりすることもあるのです。
本体の形状が変わると物理的な衝撃が加わったときのように端子部分も変形し、バッテリーの膨張が間接的に充電コネクタの不具合を引き起こすリスクも考えられます。
水没による腐食
物理的な衝撃や圧力に次いで多いのが、水没による端子部分の腐食です。近年のiPhoneは防水仕様となっていますが、適切なケアやメンテナンスを怠ってしまうと水没と判定されることがあります。特に端子部分が腐食がすると充電コネクタにケーブルを差しても正常に通電・認識されず、充電が途中で停止したり充電不可となってしまいます。
基盤の損傷
端子部分に腐食は認められなかったとしても、内部の基盤が何らかの理由によって損傷していると不具合を起こすことがあります。
iPhoneの基盤は本体の内部で厳重に保護されているため滅多に故障することはありませんが、湿度の高い環境や寒暖差の激しい場所を行き来すると内部に結露が生じ水没判定となったり、大きな衝撃や圧力が加わることで物理的な損傷を招いたりすることもあります。
端子の水濡れ
充電コネクタにケーブルを差したとき、「液体が検出されました」という警告が表示され、一時的に充電ができなくなることがあります。
特に悪天候時に外でiPhoneを使用したり浴室や洗面所などにiPhoneを持ち込み、充電コネクタ部分に水が入ったときに表示されることが多いです。
ただし、これは厳密にいえば充電コネクタの不具合ではなく、あくまでも警告に過ぎないため適切なケアと時間をおくことで正常に戻ります。
iPhoneの充電コネクタに不具合が出たときに確認すべきこと
iPhoneの充電コネクタに異常が生じたとき、ユーザーとしてはどう対処すれば良いのでしょうか。修理を出す前に試しておきたい内容を3つご紹介します。
iPhoneの再起動
iPhoneに大きな力を加える、あるいは水没などの心当たりがないにもかかわらず充電コネクタに不具合が生じている場合には、はじめにiPhoneの再起動を試してみましょう。
内部基盤の一時的な不具合などが原因となっている可能性もあり、再起動を試すことで正常に戻るかもしれません。
ほこりや汚れの除去
充電コネクタにホコリや汚れが溜まっている、あるいはホコリが溜まりやすい環境で使用していたときには、以下の手順に沿って端子部分をきれいに清掃しましょう。
充電コネクタの清掃手順
- iPhoneの電源を切る
- 充電コネクタ部分に向けてライトを照射する
- 爪楊枝の先端にレンズクロスを当て、端子部分の汚れやホコリを慎重に拭き取る
充電コネクタの端子部分は極めて繊細で傷つきやすいため、慎重に作業を進めてください
また、ピンセットなど金属製のものはショートの原因になるおそれがあるほか、ティッシュや綿棒は繊維のホコリが出やすいため清掃にはおすすめできません。
端子を乾燥させる
端子部分の水濡れによって液体検出の警告が出ている場合には、iPhoneの電源を一旦切り、端子部分を十分に乾燥させてから使用してください。充電コネクタを早く乾燥させるためには、端子部分を下に向けた状態でトントンと軽く叩き水滴を落とした後、風通しの良い場所に放置しておきましょう。
早く乾燥させるためにドライヤーや扇風機などで強い風を当ててしまうと、内部にまで水が浸潤し水没の危険性が高まることもあり危険です。
iPhoneの充電コネクタに不具合が出たときにすべき応急処置
iPhoneの充電コネクタに不具合が生じたとき、日常使用においてはどのような応急処置をとれば良いのでしょうか。
ワイヤレスで充電
充電コネクタの不具合でもっとも困るのは充電ではないでしょうか。iPhone 8以降のモデルであればワイヤレス充電に対応しているため、ワイヤレス充電規格である「Qi」に対応した充電器を用意しておくと安心です。
以前は高額であったワイヤレス充電器も現在では対応機種も増え需要が高まっていることから、シンプなものであれば1,500円程度で購入できます。
データ転送
PCや外部ストレージへデータを転送するために充電コネクタを利用することも多いはずです。
もし有線での通信ができなくなった場合には、iCloudをはじめとしたクラウドストレージサービスを利用しバックアップをとったり、重要なデータを格納しておいたりすることもできます。
また、通信相手のPCがMacであればAirdrop機能を活用しデータ転送ができるほか、WindowsPCであってもWi-FiやBluetoothを経由してデータ転送が可能です。
iPhoneの充電コネクタ修理にかかる費用
iPhoneの充電コネクタが破損し修理が必要になった場合、どの程度の費用がかかるものなのでしょうか。
充電コネクタの破損は「その他の損傷」に分類され、iPhoneのモデルやAppleCare+の加入有無によっても修理費用は異なります。
AppleCare+非加入 | AppleCare+加入 | |
---|---|---|
iPhone 15 Pro Max | 114,800円 | 12,900円 |
iPhone 15 Pro | 105,800円 | 12,900円 |
iPhone 15 Plus | 96,800円 | 12,900円 |
iPhone 15 | 87,800円 | 12,900円 |
iPhone 14 Pro Max | 114,800円 | 12,900円 |
iPhone 14 Pro | 105,800円 | 12,900円 |
iPhone 14 Plus | 96,800円 | 12,900円 |
iPhone 14 | 87,800円 | 12,900円 |
iPhone 13 Pro Max | 96,800円 | 12,900円 |
iPhone 13 Pro | 87,800円 | 12,900円 |
iPhone 13 | 68,800円 | 12,900円 |
iPhone 13 mini | 59,400円 | 12,900円 |
参照元:Apple
上記はAppleStoreやApple正規サービスプロバイダ、キャリアショップなどにおけるApple公式の修理費用ですが、非正規の修理専門店であれば大幅に修理費用を抑えられる可能性があります。
iPhoneの状態によっても異なりますが、充電コネクタの交換・修理のみであれば4,000円から5,000円前後、修理にかかる時間も15分程度で済む可能性があり、コスト・時間ともに節約できるでしょう。
ただし、非正規の修理専門店ではApple純正部品ではなく汎用パーツが使用されることが多く、以降はAppleの保証サービスを受けられなくなる可能性があるため慎重に判断する必要があります。
iPhoneの充電コネクタの不具合は早めに診てもらおう
iPhoneの充電コネクタに不具合が発生する原因はさまざまなパターンが考えられ、長期間放置しておくと症状が悪化し日常使用にも支障をきたすことがあります。
このような事態を防ぐためにも、気になる症状や異常が見られたら早めに修理の診断をしてもらい、必要に応じて修理も依頼しましょう。