「USB-Cは壊れやすい」は本当?不具合が現れたときの正しい対処法とは
iPhone 15シリーズから新たに採用されたUSB-C端子は、従来のLightning端子に比べて互換性に優れ、複数のケーブルをまとめて持ち歩く手間もなくなりました。
しかし、LightningとUSB-Cは端子の構造そのものが異なり、「USB-Cは壊れやすい」、「故障のリスクが大きい」といった意見が聞かれることもあります。これらは本当なのでしょうか。今回はUSB-Cの構造や耐久性、故障した場合の対処法などもあわせてご紹介します。
目次
USB-CとLightningの構造の違い
iPhone 15シリーズから新たに搭載されたUSB-Cという規格は、一見するとそれまでのLightning端子と同じように見た目に感じられます。しかし、細部まで目を凝らしてみるとさまざまな違いがあるのです。
Lightningの形状
Lightningはケーブル側がオス、iPhone側がメスという構造になっていました。分かりやすくいえば壁に差し込むコンセントと同じような構造で、ケーブル側に端子が付いているのです。
実際にLightningケーブルの先端部分を見てみると、バーコードのような複数の金属製のラインが見えると思います。
USB-Cの形状
これに対しUSB-Cは、Lightningとは逆の構造となっています。すなわち、ケーブル側がメス、iPhone側に端子が付いています。USB-Cケーブルは一見オスの端子のように見えますが、実際にはiPhone本体側に突き出た端子を、ケーブルの先端で覆うような構造になっているのです。
実際にUSB-Cケーブルの先端部分には金属製の接触端子が見られず、iPhoneの接続部分に光を当ててみると端子が付いているのが分かります。
USB-C端子の耐久性
では、上記で紹介したUSB-CとLightningの構造の違いは、一体何を意味するのでしょうか。
結論からいえば、両者を比較した場合にUSB-Cのほうが損傷時のリスクが高いといえます。
たとえば、Lightningを搭載したiPhone 14を充電しているときに、ケーブルに強い力が加わった場合、力の入る方向や程度によっては端子が折れてしまうことも考えられます。しかし、万が一このような状態になったとしても、端子部分が破損するリスクの高いのはオスのケーブルのほうであり、新しいLightningケーブルに買い替えるだけで済む可能性があります。
しかし、USB-Cの場合、iPhone本体の差込口内部に端子が出っ張った構造になっていることから、本体側の端子が折れてしまうリスクがあるのです。このような事態になった場合、当然のことながらUSB-Cケーブルを買い替えても不具合は解消せず、接続してもケーブルを認識できなくなってしまいます。
もちろん、このようなリスクも想定しある程度は力が加わっても壊れないような設計になっており、正常なケーブルの着脱を繰り返しても簡単に壊れる心配はありません。
差込口に異物が挿入されたり本体に大きな力が加わったりすると、内部に突き出た端子が損傷する可能性は十分あり、Lightning端子と比較してみるとデリケートで故障のリスクは大きいといえるでしょう。
USB-C端子が壊れるとどうなる?
USB-C端子に大きな衝撃や無理な力が加わったとき、どのような不具合が起こる可能性があるのでしょうか。
ケーブルを差し込んだときにグラつく
まず考えられるのは、ケーブルを差し込んだときに安定感がなく、グラつくといった症状です。
USBはケーブルを差し込んだときにバネによって固定される仕組みになっていますが、ケーブルの抜き差しを繰り返すとバネの力が弱まり安定感が失われていきます。
これは厳密にいえばUSB-C端子の故障・破損ではありませんが、差し込みが不安定になることでiPhone側の端子に力が加わり、端子部分の破損につながる可能性があるのです。
ケーブルが差し込めない
iPhone内部のUSB-C端子が折れたり曲がったりすると、ケーブルをうまく差し込むことができなくなります。そのまま強引にケーブルを差し込んでしまうと、無理な力が加わって端子が完全に折れてしまうこともあるでしょう。
特にiPhoneの内部にあるUSB-Cの端子は、外側からでは正確な状態が把握しづらく、わずかに折れたり曲がったりしていても気づきにくいものです。そのことを認識しないまま、普段通りにケーブルを差し込んでしまうと故障につながる可能性があります。
ケーブルが認識されない
USB-Cの破損が深刻だと、ケーブルを差し込んでも認識されないこともあります。iPhone側の端子が完全に折れてしまったり、端子の一部が破損したりすることで正常に認識されず充電もできなくなります。
物理的な力による破損だけでなく、端子が水に濡れたまま放置するなどして腐食することも破損の原因になることがあります。
USB-C端子の不具合が出た場合の対処法
USB-C端子にケーブルを差し込んでも正常に充電が行われない、あるいはケーブルそのものが認識されない場合、修理が必要なのか判断が難しいケースも多いでしょう。
また、そもそもiPhone本体側の問題なのかケーブル側の問題なのか原因がはっきりしないこともあります。このような場合に、不具合を解消するための基本的な対処法をご紹介します。
端子部分の汚れを取り除く
はじめに試していただきたいのが、iPhoneの端子部分およびUSB-Cケーブルの先端に汚れやホコリなどが付着していないかを確認し、清掃することです。大きな汚れやホコリなどが詰まっていると、それが障害物となってケーブルを接続しても通電しないことがあります。
そのため、汚れがホコリが溜まっているようであれば、以下の方法でクリーニングを行ってください。
- iPhoneの電源を切る
- 端子部分を下に向けてホコリを落とすように軽く叩く
- レンズ用クロスで端子の入り口部分からホコリを取り出す
清掃のポイント
- 使用する布は繊維や糸くずが出ない柔らかい布を使用してください。
- 爪楊枝など尖ったものを挿入すると端子を傷つけるリスクがあります。
- ピンセットなど金属製のものはショートさせる危険性もあり大変危険です。
基本的に端子内部には異物を挿入せず、端子の入り口部分に落ちてきたホコリを取り出すようなイメージで行ってください。もし、ホコリが奥まで入り込んでおり取り出すのが難しい場合には、修理専門店などにクリーニングを依頼しましょう。
水に濡れている場合には自然乾燥させる
端子内部に水分が付着している場合には、以下の方法で自然乾燥させてください。ドライヤーや扇風機などで強い風を送るのはNGです。
端子内部にわずかな隙間が開いていた場合、風を当てることによって水分が侵入し水没判定となるケースがあるためです。
自然乾燥の方法
- iPhoneの電源を切る
- 端子部分を下に向けて水を落とすように軽く叩く
- 風通しの良い場所で自然乾燥させる
他のケーブルを接続する
現在使用しているUSB-Cケーブルとは別のケーブルに差し替えて動作を確認することです。仮にケーブル側に問題がある場合には、別のケーブルに差し替えることで正常に認識されるケースがほとんどです。
USB-C端子の修理にかかる費用
上記の方法を試しても不具合が改善しない場合には、iPhone本体が故障している可能性が考えられます。
iPhoneのUSB-C端子が破損した場合、「その他の損傷」として分類され基本的には本体の交換が必要になります。AppleCare+への加入状況やiPhoneのモデルによっても費用は異なりますが、基本的な修理費用は以下の通りです。
AppleCare+未加入の場合
機種 | AppleCare+非加入修理料金 | AppleCare+加入 |
---|---|---|
iPhone 15 Pro Max | 114,800円 | 12,900円 |
iPhone 15 Pro | 105,800円 | 12,900円 |
iPhone 15 Plus | 96,800円 | 12,900円 |
iPhone 15 | 87,800円 | 12,900円 |
iPhone 14 Pro Max | 114,800円 | 12,900円 |
iPhone 14 Pro | 105,800円 | 12,900円 |
iPhone 14 Plus | 96,800円 | 12,900円 |
iPhone 14 | 87,800円 | 12,900円 |
iPhone 13 Pro Max | 96,800円 | 12,900円 |
iPhone 13 Pro | 87,800円 | 12,900円 |
iPhone 13 | 68,800円 | 12,900円 |
iPhone 13 mini | 59,400円 | 12,900円 |
※上記のリストはAppleStoreおよびApple正規サービスプロバイダ、キャリアショップ、Appleの修理サポートへ依頼した場合の価格です。
USB-C端子の故障を防ぐための対策
USB-C端子の破損や故障を未然に防ぐためには、日頃からメンテナンスや対策を講じておくことが重要です。
こまめな清掃
USB-C端子にホコリや汚れが付着すると接触が悪くなり不具合や故障の原因につながります。そのため、ホコリが溜まらないようこまめに清掃を行いましょう。
不具合が出たときの対処法でも紹介した通り、繊維や糸くずのでない柔らかい布でホコリを取り除いてください。
端子保護カバーの活用
こまめに清掃するのが面倒に感じる場合には、端子保護カバーを装着するのもおすすめです。
ECサイトなどではiPhone用の端子保護カバーが数百円程度で販売されているほか、100円ショップなどでも手に入ることが多いため探してみましょう。また、端子保護カバーを紛失する心配がある方には、カバー付きのiPhoneケースもおすすめです。
端子に無理な力を加えない
端子部分に衝撃や圧力を加えると故障の原因になることから、無理な力を加えないよう慎重に取り扱ってください。
特にiPhoneの充電ケーブルを無理に引っ張ったり、ケーブルの付け根部分に力が加わることが多いため充電中は注意が必要です。
また、充電ケーブルを差し込んだ状態でiPhoneを使用していると、無意識のままテーブルの上や隅などに端子部分が押し付けられることも多いため丁寧に扱いましょう。
MagSafeの活用
iPhoneを丁寧に扱っていたとしても、充電ケーブルを頻繁に抜き差ししていると物理的なダメージが蓄積され故障や不具合の原因になることもあります。
これを防ぐためには、MagSafeに対応した充電器を活用するのもひとつの手です。MagSafe充電器であれば、iPhoneの背面に内蔵されたマグネットで固定するだけで充電が開始されるため、充電ケーブルを差し込む必要がありません。
また、MagSafe対応のケースを使用すれば、iPhoneをケースから取り出さずにそのまま充電も可能なため、通常使用の範囲内であれば支障をきたす心配もないでしょう。
USB-C端子の修理方法
USB-C端子に不具合が生じ、上記で紹介した対処法を試してみても解消されない場合には修理を依頼しましょう。
近所にAppleStoreやApple正規サービスプロバイダ、キャリアショップがある場合には、まずは来店のうえ相談してみてください。AppleCare+に加入していれば、安価で本体交換ができる可能性があります。
一方、AppleCare+へ加入していない場合には、Apple正規サービスプロバイダ以外の修理専門店に依頼するという方法もあります。
破損状態や症状によっても費用は変わりますが、充電コネクタの修理のみであれば5,000円前後で済む場合が多く、コスト・時間ともに節約できるでしょう。
ただし、修理専門店ではApple純正部品ではなく汎用パーツが使用されることが多いため、今後不具合や故障があった際にApple公式の保証サービスを受けられなくなる可能性もあります。
USB-C端子は慎重に扱おう
Lightning端子とUSB-C端子は物理的な構造が異なり、特にiPhone本体側にオスの端子が採用されているUSB-Cは取り扱い方を間違えると故障のリスクが高まります。
充電ケーブルを差し込む際には慎重に行い、さらに使用時も大きな圧力や衝撃を与えないよう慎重に扱うことが大切です。
少しでも不具合が現れた場合には、今回ご紹介した対処法を試していただき、それでも解消されない場合には信頼できるお店に修理を依頼しましょう。