フリーWi-Fiスポットは危険?安全かつ便利に活用するためのポイントも解説
現在、飲食店やコンビニ、公共施設など、街のいたるところに設置されているフリーWi-Fiスポット。自宅から一歩外に出ると、さまざまなアクセスポイントが表示されることもあります。
しかし、フリーWi-Fiスポットは便利な反面、使い方によってはセキュリティ上の危険性も指摘されています。本記事では、なぜフリーWi-Fiスポットは危険と言われるのか、安全に利用するためのポイントなども含めて詳しく解説します。
目次
フリーWi-Fiスポットとは
フリーWi-Fiスポットとは、コンビニや飲食店、駅をはじめとした公共の施設・場所などにおいて、誰でも自由に無料で利用できるWi-Fiスポットのことを指します。公衆無線LANやフリーWi-Fiスポットとよばれることも多く、これらに接続することで、モバイルデータ通信容量に関係なく快適なインターネットが楽しめます。
店舗や公共の施設・場所には常設のフリーWi-Fiスポットが設けられることがほとんどですが、大規模なイベントが実施される際には臨時でフリーWi-Fiスポットが一時的に設けられることもあります。
フリーWi-Fiスポットが増え始めたのは2010年代に入ってからで、この背景にはスマートフォンの普及や訪日外国人の増加などの要因があります。しかし、2020年代に入ってからはコロナ禍によって訪日外国人が減少したこともあり、フリーWi-Fiスポットの提供を終了する店舗や事業者が目立つようになりました。
ピーク時に比べるとフリーWi-Fiスポットの数は減少傾向にありますが、それでも街の中を歩いているとフリーWi-Fiのアクセスポイントが表示されることも珍しくありません。
フリーWi-Fiスポットを設置している主な店舗・施設
フリーWi-Fiスポットは店舗や公共の施設・場所などに設置されていることが多いと紹介しましたが、具体的にどういったところで提供されているのでしょうか。東京都を例に、いくつか紹介しましょう。
まず、都内には東京都が提供するフリーWi-Fiスポット「TOKYO FREE Wi-Fi」と、民間企業などが提供するWi-Fiスポットがあります。
東京都が提供するフリーWi-Fiスポット
- 公園、庭園
- 空港、港
- 都庁、スポーツ施設 など
東京都が提供するWi-Fiは「TOKYO FREE Wi-Fi」と言い、スポットやエリアを公式サイトで確認することができます。
公式サイト:TOKYO FREE Wi-Fi
民間企業などが提供するフリーWi-Fiスポット
- コンビニ
- 飲食店
- 百貨店
- 私鉄 など
例に挙げた東京都以外にも、北海道札幌市や大阪府、千葉県など多くの自治体でフリーのWi-Fiスポットを提供中です。また、コンビニ大手のセブンイレブンは、2022年3月をもってフリーWi-Fiスポットの提供を終了しています。ファミリーマートやミニストップも自社提供のフリーWi-Fiスポットから撤退し、現在は通信キャリアなどが提供するWi-Fiスポットを設置しています。
フリーWi-Fiスポットの多くは、1回の接続で30分から数時間利用でき、一定時間が経過した後は再度接続するという仕組みになっています。利用する際には特別な認証などがなくても接続できるものもあれば、メールアドレスの登録が必要なものも少なくありません。
災害時に開放される「00000JAPAN」とは
大規模災害など、万が一のときに役立つのが非常時にのみ開放されるフリーWi-Fiスポット「00000JAPAN」です。これは「ファイブゼロジャパン」という名称で、大手通信キャリアや自治体などが一時的にアクセスポイントを無料開放するものです。
2011年に発生した東日本大震災においてモバイルネットワークの復旧が遅れたことを教訓に整備され始めたもので、はじめに「00000」がつくのはSSIDの一覧が表示された際に探しやすくする目的があります。
「00000JAPAN」の参加事業者は、NTTドコモやKDDI、ソフトバンクといった通信事業者のほか、富士通やシスコシステムズ、ヤマハ、日本HPといったベンダー、東京大学や福岡大学などの教育機関、そして全国の自治体が含まれています。
総務省公式ページ:電気通信事業者等による公衆無線LANの無料開放
SSID(Service Set Identifier)とは、アクセスポイントを識別する名前です。「ネットワーク名」として表示されるのが一般的です。
懸念されるフリーWi-Fiスポットの安全性
フリーWi-Fiスポットは誰でも自由に無料で利用でき、便利な存在です。しかし、その手軽さゆえにさまざまなセキュリティ上の懸念も指摘されており、どういったリスクがあるのかを十分把握したうえで利用しなければなりません。具体的にどのような懸念があるのか、代表的な2つのポイントを紹介しましょう。
盗聴・覗き見
盗聴・覗き見とは、フリーWi-Fiスポットにアクセスしている不特定多数のユーザーに、自分自身の通信内容が傍受されることです。
たとえば、あるフリーWi-FiスポットにAさんとBさんが同時に接続しているとき、Aさんがやり取りしているメールの内容やアクセス先のURL、通信の内容などを、Bさんは簡単に取得できてしまうということです。
もちろん、BさんのブラウザにいきなりAさんに関する情報が表示されるといったことはありません。しかし、Bさんがある程度のネットワークに関する知識やスキルがあり、Aさんに悪意がある場合、傍受される確率は低いとはいえないのです。
特にカフェや飲食店などの場合、入店してから1時間、2時間と店内で過ごすことは珍しくありません。その間に、フリーWi-Fiスポットに接続したユーザーの情報を不正に取得し、詐欺のターゲットにされてしまう危険性も十分考えられます。
不正ななりすましアクセスポイント
Wi-Fiに接続する場合、iPhoneの「設定」から「Wi-Fi」に進み、「ネットワーク」の欄に表示された該当のSSIDを選択します。たとえば、前途でご紹介した東京都のフリーWi-Fiスポットは、「FREE_Wi-Fi_and_TOKYO」というSSIDで提供されています。
このSSIDはユーザーが任意で設定できるため、テザリングが可能なiPhoneやスマートフォン、手持ちのポケットWi-Fiなどがあれば、SSIDを全く同じ「FREE_Wi-Fi_and_TOKYO」に設定することも可能なのです。
フリーWi-Fiスポットを利用するユーザーにしてみれば、どちらが正規のアクセスポイントなのかがわからなくなってしまいます。もし、同じSSIDが2つ存在することに気づき不審に思った場合は、そこで手を止めることもできますが、それに気付かず偽物のなりすましアクセスポイントに接続してしまうこともあるでしょう。
その結果、通信の内容が他者に傍受されたり、重要な個人情報が漏えいする危険性も出てきます。
- 同時に接続している人に傍受されるリスク
- 偽のアクセスポイントにアクセスしてしまうリスク
フリーWi-Fiスポットを安全に使用するためのポイント
盗聴・覗き見や、なりすましアクセスポイントといった危険性のあるフリーWi-Fiスポットですが、安全に使用するためにはどういった対策が必要なのでしょうか。ユーザー側で最低限講じておくべき5つの対策を紹介しましょう。
iPhoneの設定見直し
Wi-Fiを安全に使用するためには、大前提として暗号化されたアクセスポイントに接続する必要があります。暗号化されたアクセスポイントとは、SSIDの横に鍵のアイコンが表示されたもので、現在は「WPA」や「WPA2」などの暗号化方式が主流です。
しかし、そもそもフリーWi-Fiスポットは多くのユーザーが手軽に利用できるよう、利便性を優先して暗号化されていないことがほとんどです。知らないうちに自動的にiPhoneがフリーWi-Fiスポットに接続し、端末内の情報が抜き取られるなどの危険性も考えられるため、iPhoneの設定を見直す必要があるでしょう。
iPhoneの「設定」から「Wi-Fi」に進むと、「接続を確認」という項目が出てきます。これを「通知」に設定していると、一度でも接続したことのあるフリーWi-Fiスポットに自動的に接続してしまうため、「オフ」にしておくのがおすすめです。
Wi-Fi設定の確認方法
- iPhoneの「設定」「Wi-Fi」に進む
- 「接続を確認」をタップし、確認
- 「オフ」の場合
近くにアクセスポイントがあっても反応しない - 「通知」の場合
接続したことのあるWi-Fiに自動的に接続される - 「確認」の場合
近くにアクセスポイントがあるとき「ワイヤレスネットワークを選択」と表示される
ID・パスワードのログインページにはアクセスしない
ネットバンキングや証券口座へのログイン、ネット通販サイトなど、IDやパスワードを入力してアクセスするケースは多いものです。
しかし、フリーWi-Fiに接続してログインをすると、入力したID・パスワードなどのログイン情報が第三者に漏えいする危険性があります。特にネットバンキングやネット通販サイトなどのログイン情報が漏れてしまうと、不正送金やなりすまし購入、嫌がらせなどの被害にあうことも考えられるため注意が必要です。
個人情報やクレジットカード番号、口座番号などのやり取りは控える
IDやパスワードを入力しなくても、生体認証などでログインを簡略化できるページも増えています。しかし、だからといってログインした後に個人情報やクレジットカード番号、口座番号などをフリーWi-Fiスポット経由でやり取りしてしまうと、それらの情報が第三者に筒抜けになる可能性があります。
個人情報やクレジットカード番号、口座番号などの重要情報を扱うものは、フリーWi-Fiスポットではやり取りしないことが重要です。
HTTPS化されていないサイトへアクセスしない
これはフリーWi-Fiスポットに限ったことではありませんが、安全にインターネットを利用するうえでぜひ覚えておいてほしいポイントです。
現在、多くのWebサイトはURLの冒頭に「https」がつきます。httpsがついたサイトは、サーバーと端末との通信そのものが暗号化されるため、盗聴や傍受のリスクが格段に減ります。
しかし、一部では「http」というサイトも存在し、これは暗号化がされないためセキュリティ対策が不十分です。SafariやChromeなどのブラウザでhttpのサイトにアクセスしようとすると、「安全ではありません」といった警告の表示がされることも多いため、このような表示が出てきた場合には速やかにそのページから離れましょう。
VPNアプリの活用
フリーWi-Fiスポットを安全に利用するための具体的な解決策としては、VPNの活用が挙げられます。VPNとは「Virtual Private Network」の略称で、仮想的に自分専用のプライベートネットワークを構築し、他者が侵入できないようにするというものです。
AppStoreでは、無料で利用できるiPhone用のVPNアプリが提供されており、これを設定しておくことでフリーWi-Fiスポットでもある程度のセキュリティを担保できます。
ただし、無料プランは機能が制限されていたり、VPNアプリによっては通信スピードの低下が見られたりするなどのデメリットもあります。
- Wi-Fiの「自動接続」を解除しておく
- 個人情報などを入力しない
- URLの冒頭が「http」のサイトは開かない
- VPNでプライベートネットワークを構築してセキュリティを高める
フリーWi-Fiスポットの上手な使い方
フリーWi-Fiスポットを便利に、そして安全に利用するためにはどういった用途が適しているのでしょうか。
ニュースや天気予報の閲覧
外出先で最新のニュースや天気予報などを確認したいとき、フリーWi-Fiスポットは心強い味方になってくれます。最近では動画によるニュース配信を行っているサイトも多く、フリーWi-Fiスポットをうまく利用することで通信制限を気にすることなく閲覧できるでしょう。
ニュースや天気予報を確認するだけであれば、個人情報を入力する必要もなく、万が一盗聴や盗み見をされたとしてもリスクは少ないです。
音楽や動画ストリーミングサービスの利用
ニュースや天気予報だけでなく、AppleMusicをはじめとした音楽ストリーミングサービス、YouTubeなどの動画ストリーミングサービスの利用もおすすめです。これらは一般的なWebサイトよりもデータ容量が大きく、気付かないうちに通信制限に達することがあります。
ストリーミングサービスのサイトではユーザーの個人情報をやり取りする必要がないため、フリーWi-Fiスポットを活用することで安全に楽しめるでしょう。
- 容量が大きい動画サイト閲覧時に利用して、モバイルデータ通信の容量を節約しよう
- 個人情報を入力しないサイトを限って利用しよう
テザリングやポケットWi-Fiも検討してみよう
フリーWi-Fiスポットを利用する方の多くは、モバイルデータ通信の容量を少しでも節約したいという目的があります。また、PCやiPadのように、そもそもモバイルデータ通信の契約をしておらず、通信環境を確保しなければならないという場合もあるでしょう。
そこで、フリーWi-FiスポットではなくテザリングやポケットWi-Fiの利用を検討してみるのもおすすめです。
特にテザリングは手持ちのスマートフォンで手軽に利用できるほか、格安料金プランでも対応していることが多いため、以前に比べれば費用も安く利用できます。安全に、そして通信制限を気にすることなく快適にインターネットを利用するためにも、テザリングとポケットWi-Fiの活用もあわせて検討してみましょう。
料金・セキュリティ・データ容量が揃ったテザリングとポケットWi-Fiの活用がおすすめです。
本記事では、なぜフリーWi-Fiスポットは危険とされているのか、安全に利用するためのポイントなども含めて詳しく解説しました。「海外旅行を検討中の方必見!渡航先でiPhoneを安全に使用するためのポイント」では、2023年以降に海外旅行を計画している方に向けて、あらためてiPhoneの設定方法や準備しておきたいもの、渡航時に注意しておくべきポイントを解説します。是非ご覧ください。