直射日光のもとでiPhoneを使用すべきではない理由とは?「高温注意」の正しい対処方法も解説
夏休みに入り、キャンプや釣り、音楽フェスなど屋外でさまざまなアクティビティを楽しむ方も多いのではないでしょうか。特に2023年はコロナ禍が落ち着き本来の日常を取り戻したこともあり、多くの人がアウトドアを楽しんでいます。
しかし、そのような季節だからこそ注意したいのが、屋外でのiPhoneの使用です。特に直射日光が当たる炎天下でiPhoneを使用し続けていると、さまざまな影響が出て故障を引き起こしたり、ときにはユーザー自身がケガをしたりするおそれもあります。
本記事では、iPhoneを使用する際に直射日光を避けるべき理由と、気をつけたい使用方法、「高温注意」の表示が出たときの正しい対処方法も詳しく解説します。
目次
iPhoneにとって直射日光が大敵である理由
多くの精密機器にとって直射日光は大敵であり、iPhoneも例外ではありません。なぜiPhoneに直射日光を当てるべきではないのか、主な2つの理由を紹介しましょう。
- 過熱によりパフォーマンスが低下するおそれがある
- ディスプレイが損傷するおそれがある
過熱によるパフォーマンスの低下
直射日光がiPhoneに当たると、本体の温度がぐんぐんと上昇していきます。そもそもiPhoneは周囲の温度が0℃から35℃の範囲で使用することが推奨されており、極端に低温または高温の環境下では著しくパフォーマンスが低下する可能性があるのです。
直射日光が当たる環境下では、あっという間に本体の温度が40℃、50℃と上昇していくため、そのような状態でiPhoneを稼働し続けると内部の部品が損傷したり、最悪の場合デバイスそのものが完全に故障したりするリスクも出てきます。
ディスプレイの損傷
一部のiPhoneのディスプレイには、有機ELディスプレイ(OLED)を使用しているモデルもあります。有機ELディスプレイはコントラストがはっきりとしていて、黒を貴重としたダークな色の表現力に優れているという特徴が見られます。
しかし一方で、有機ELディスプレイは紫外線に弱いという特性ももっており、長時間の紫外線暴露によりディスプレイの性能や品質が劣化していく可能性があるのです。また、直射日光の下ではディスプレイの視認性が低下し、見づらくなるリスクもあります。
iPhoneに直射日光が当たったときに現れる症状
実際に直射日光が当たる環境下でiPhoneを使い続けた場合、どういった症状が現れるのでしょうか。上記でも紹介した通り、最悪の場合内部の部品損傷や本体の故障につながる可能性はありますが、それ以前の段階で見られる典型的な症状を紹介しましょう。
- 本体が熱くなる
- 画面が暗くなる
- バッテリーの減りが早くなる
本体が熱くなる
真っ先に現れる症状としては、iPhone本体が熱くなるというものです。太陽からの熱によって本体が過熱するというのもひとつの要因ですが、iPhone内部に負担がかかり熱暴走のような状態を引き起こすことも要因のひとつに挙げられます。
iPhoneの場合、PCの熱暴走のようにフリーズや再起動を繰り返すといったケースは少ないですが、CPUの駆動が制限されるためパフォーマンスそのものが大幅に低下する可能性はあります。
また、iPhoneがあまりにも高温になり本体へ深刻なダメージが加わるリスクがある場合、ディスプレイに「高温注意」の表示が出てくることもあります。
画面が暗くなる
炎天下でiPhoneを使用した場合、普段よりもディスプレイが暗く見づらいと感じたことはないでしょうか。もともとiPhoneには周囲の明るさに応じて画面の明るさを調節する機能が搭載されていますが、直射日光が当たる屋外ではあまりにも明るすぎて、iPhoneのディスプレイが暗く感じてしまうこともあります。
しかし、これとは別に、直射日光が当たり高温の環境下にさらされることでディスプレイが暗くなるケースもあります。そもそもディスプレイは本体のなかでも消費電力が大きく、明るくなるほど本体にかかる負担も増していきます。直射日光が当たる環境下でiPhoneのディスプレイの明るさを「MAX」まで上げてしまうと、あまりにも本体にかかる負担が増大し故障につながる可能性があります。
極端に高温かつ明るい環境下では、本体への負担を軽減させるため、iPhoneのシステムを守るために自動的に画面の明るさを落とす仕様となっているのです。
バッテリーの減りが早くなる
外気温が極端に高くない日でも、直射日光が当たる環境下では、ディスプレイの視認性を確保するために明るさが「MAX」まで引き上げられるため、バッテリーの減りが早くなることがあります。
ディスプレイは特に電力を消費する部分でもあるため、直射日光が当たる環境下でiPhoneを長時間使用していると普段よりもバッテリーの減りは早くなります。
画面が暗くなるのを防ぐ設定
iPhoneの設定を見直すことで、直射日光の環境下でも画面が暗くなるのを防ぐ方法があります。設定方法は以下の通りです。
- 「設定」をタップ
- 「画面表示と明るさ」をタップ
- 「明るさ」の「True Tone」をオフ
- スライドバーで任意の明るさに設定
ただし、高温環境下での使用によって本体が過熱した場合は、上記の設定を行っていたとしてもiPhoneの画面が暗くなってしまいます。また、上記の設定で明るさを上げすぎてしまうと、バッテリーの消耗も大きくなるため注意しましょう。反対に、バッテリーを節約したい場合には明るさを抑えておくことがおすすめです。
iPhoneに「高温注意」の表示が出た際の正しい対処方法
直射日光や炎天下の使用でiPhoneのディスプレイに「高温注意」の表示が出た場合、しばらくの間操作ができなくなります。この状態から復帰し通常通り使用するためにはどのように対処すれば良いのでしょうか。
Apple公式のサポートサイトでは、「本体の電源を切って涼しい場所に移し(直射日光は避ける)、冷ます」旨が案内されています。直射日光が当たらない日陰などに避難し、自然と冷めるまで待ちましょう。
「高温注意」の表示が出た場合でも、110番や119番といった緊急通報は可能です。
iPhoneが高温になった際にやってはいけないこと
iPhoneに「高温注意」の表示が出たとき、涼しい場所に移動したとしてもしばらくは熱が下がらず、数十分程度は使用できない状態になることも珍しくありません。しかし、できるだけiPhoneを冷まそうとして、以下のような誤った対処をしてしまうと故障の原因になることもあります。
水で冷やす
ほとんどのiPhoneには防水機能が搭載されているため、過熱したiPhoneを冷ますために冷たい水をかけようと考える方も多いでしょう。しかし、内部が高温状態であるにもかかわらず、外装に冷たい水をかけてしまうと、急激な温度変化によって結露が発生するおそれがあります。
iPhone本体の内部に結露が発生すると、水分によって回路がショートし本体が起動しなくなることもあるのです。また、動作に問題がなかったとしても、結露の水分によって水没とみなされ高額な修理費用がかかることもあるため、水で冷やすという行為は避けたほうが良いでしょう。
冷蔵庫に入れる
水で冷やすのと同様に、冷蔵庫に入れて冷やすという行為も避けたほうが良いでしょう。こちらも、冷蔵庫から取り出したときの急激な温度変化によって内部に結露を生じさせることがあるためです。
また、万が一冷蔵庫に入れていたのを忘れたまま放置してしまうと、低温環境下でiPhoneのパフォーマンスを低下させたり、本体の故障につながったりする可能性もあります。
iPhoneのバッテリー膨張にも注意
直射日光が当たる環境下でiPhoneを使用してはいけない理由として、本体の過熱によるパフォーマンスの低下を紹介しました。しかし、これはあくまでも初期段階で見られる症状に過ぎません。このような影響を無視して炎天下の屋外でiPhoneを使用し続けた場合、さらに深刻な被害につながる可能性もあるのです。
その顕著な例がバッテリーの膨張です。iPhoneにはリチウムイオンバッテリーが搭載されていますが、この電池はもともと極端な温度変化に弱く、劣化しやすいといった特性があります。古いスマートフォンや携帯電話、モバイルバッテリーなどが膨張した姿を見たことがある方も多いのではないでしょうか。
バッテリーの膨張は経年劣化によって生じるケースが多いですが、実はそれ以外にも熱によって膨張する可能性は十分あるのです。iPhoneのバッテリーが膨張しても、しばらくは動作に影響なく使用できる場合が多いですが、最悪の場合爆発や発火といった危険を伴うこともあります。
特に高温環境下での使用はこれらのリスクが高く、ときにはケガをしたり、命の危険を及ぼす場合もあることから、安全性の面からもiPhoneを直射日光のもとで使用することは避けるべきといえるでしょう。
真夏の時期に気をつけたいiPhoneの使い方
iPhoneにとって直射日光や炎天下での使用は大敵であり、ときにはユーザーの安全を脅かす危険もあることを紹介しました。特に真夏の時期はこのようなリスクが高まりますが、特に押さえておきたい注意点や使い方のポイントを解説します。
車内に放置しない
直射日光が差す車内の温度は50℃以上に達するケースもあり、特にダッシュボードの上などは短時間であっても気温が急激に上昇していきます。エアコンが稼働している車内でも、ダッシュボードの上に置かれたiPhoneには直射日光が当たるため大変危険です。
車内から離れる際には短時間であっても必ずiPhoneを持ち、放置しないように心がけましょう。
できるだけ日陰で操作する
直射日光が当たる炎天下の屋外でiPhoneを操作することは、短時間でも大きな負荷がかかります。iPhoneを操作するときには、できるだけ屋内に移動するか、直射日光が当たらない日陰などを選ぶようにしましょう。
長時間の使用や負荷の大きいアプリの使用は避ける
アプリによってもiPhoneにかかる負荷は異なります。特に負荷の大きいアプリとしては、以下のようなものが該当します。
- GPSで追跡する地図アプリ
- グラフィック性能の高いゲームアプリ
- ストリーミング再生や配信機能のある動画アプリ
これらのアプリを屋外で長時間にわたって稼働し続けると、本体が過熱しバッテリーにも深刻なダメージを与える可能性があります。
また、バッテリーが減ってきたからといってモバイルバッテリーなどで充電しながら稼働させていると、さらに本体に大きな負荷がかかり故障の原因となる可能性もあるため注意が必要です。
iPhoneの正しい使い方を押さえアウトドアを楽しもう
iPhoneは直射日光や炎天下で使用することでさまざまな影響が考えられ、ときにはユーザーの安全を脅かす危険もあります。アウトドアでも正しく安全にiPhoneを使用するためにも、今回紹介した注意点をしっかりと理解しておきましょう。
特に「高温注意」の表示が頻繁に出てくる方は、これまでの使い方を見直してみるのも良いかもしれません。