スマートフォンの「過充電」とは何か?バッテリーを長持ちさせるためのコツも紹介

スマートフォンの「過充電」とは何か?バッテリーを長持ちさせるためのコツも紹介

テレワークの広がりによって自宅で仕事をする機会が増えた現在、iPhoneをはじめとしたスマートフォンをつねにデスクの上に置き、充電ケーブルを差したままにしているケースも少なくありません。満充電の状態で充電ケーブルを差したままにしておくと、「過充電」の状態となり、バッテリーに負荷がかかり寿命を縮めてしまったり、発火や爆発の危険があるといった意見を耳にすることもあります。

しかし、これらは本当に正しいのでしょうか。今回はスマートフォンの過充電について覚えておきたい内容を解説します。

過充電とは

過充電とは

そもそも過充電とは、充電の残量が100%に達しているにもかかわらず、バッテリー側に電力が供給し続けられることでバッテリーに負荷がかかってしまう状態のことを指します。浴槽にお湯が貯まっているにもかかわらず、お湯を出しっぱなしにしていると溢れ出てしまうのと同様に、バッテリーも100%になった時点で電力の供給をストップしなければなりません。

電力供給が適切に管理できていないと、リチウムイオンバッテリーに大きな負荷がかかり、バッテリーが膨張したり最悪の場合には爆発や発火に至ったりするケースがあります。

スマートフォンの充電ケーブルの差しっぱなしは危険?

スマートフォンの充電ケーブルの差しっぱなしは危険?

では、リチウムイオンバッテリーが搭載されているスマートフォンの場合、充電ケーブルを差しっぱなしにしていると過充電の危険性が本当に高まるのでしょうか。就寝前、充電ケーブルを差したままにしている方も多いと思いますが、夜間に過充電の状態にならないか不安に感じてしまいます。

結論からいえば、スマートフォンやタブレット端末などにおいて、過充電の状態になる危険性はほとんどないといえます。たとえば、iPhoneの場合、0〜80%までは急速に充電がされますが、80〜100%に達するまでの間は充電のスピードが緩やかになります。また、仮に100%に達した場合には、その時点で電力の供給をストップするような仕組みが搭載されています。

そのため、就寝前に充電ケーブルを差しっぱなしにしていたり、デスクの上で長時間iPhoneを充電していたとしても、過充電になる可能性はほとんどないと考えて問題ありません。また、このような仕組みは、iPhoneに限らずほとんどのスマートフォン、タブレット端末に採用されています。

充電ケーブルの差しっぱなしはバッテリー劣化につながる

充電ケーブルの差しっぱなしはバッテリー劣化につながる

iPhoneをはじめとしたスマートフォンでは、過充電によってバッテリーの爆発や発火の心配はほとんどないことが分かりましたが、バッテリーの劣化要因につながることは事実です。

リチウムイオンバッテリーが劣化する要因は、主に「サイクル劣化」と「保存劣化」があります。サイクル劣化とは、充電と放電を繰り返すことによる自然劣化に近いものですが、保存劣化は満充電の状態で充電ケーブルを長時間差しっぱなしにした場合によって起こります。

「サイクル劣化」と「保存劣化」
  • 「サイクル劣化」・・自然劣化に近い
  • 「保存劣化」・・・・満充電の状態で充電ケーブルを長時間差した状況下で起こる

これはリチウムイオンバッテリーの特性であり、完全に劣化を防ぐことはできません。通常使用の範囲であればバッテリーの劣化も緩やかで、3年、4年と使い続けることも十分可能です。しかし、保存劣化につながるような使い方をしていると、バッテリーの劣化スピードは加速し、1年や2年でバッテリーの性能が著しく低下するケースも十分考えられるのです。

なお、スマートフォンやタブレットには充電のタイミングを適切に管理する機能が備わってはいるものの、それでも充電残量が100%の状態でケーブルを差しっぱなしにしているとバッテリーの劣化は生じるケースが多いため、十分な注意が必要です。

バッテリーを長持ちさせるためのコツ


スマートフォンやタブレット端末を買い換える典型的な理由として、リチウムイオンバッテリーの劣化が挙げられます。端末の寿命を延ばすためにも、適切なバッテリーの管理方法を覚えておきたいもの。そこで、リチウムイオンバッテリーの劣化を抑止するためのコツを紹介しましょう。

正しい充電を行う

バッテリーの劣化を防止するためには、正規の充電器や充電ケーブルを使用することはもちろん、充電のタイミングも把握しておくことが重要です。たとえば、充電残量が100%近くあるにもかかわらず充電ケーブルを差し込んでしまうと、保存劣化が加速しバッテリーの消耗が早くなります。

バッテリー残量が十分ある場合には充電を控え、50%以下になった場合に充電ケーブルを差し込むなど、充電のタイミングを工夫しましょう。

温度管理

リチウムイオンバッテリーは極端に暑い場所、または極端に寒い場所で使用すると劣化しやすくなります。たとえば、iPhoneの場合、適切な使用環境は0〜35℃の場所が推奨されているほか、保管場所は-20〜45℃と決められています。特に真夏の炎天下での車内では、短時間で45℃以上に達するケースも少なくないため、車内にiPhoneを置き忘れることのないよう十分注意しましょう。

なお、万が一許容温度よりも高くなった場合には、iPhoneのディスプレイ上に「高温注意」の警告が表示されることがあります。この状態になると、緊急発信以外の機能は一時的に制限され、本体の温度が下がるまでしばらく待たなければなりません。

充電しながらスマートフォンを使用しない

つねに100%の充電がないと不安に感じる人も多く、バッテリーの減りを防ぐために充電ケーブルを差したまま電話やゲームをする人もいます。しかし、バッテリーの寿命を維持する観点から見ると、これは適切な使い方とはいえません。特にバッテリーの消耗が激しいゲームアプリなどを使用する場合、充電も並行して行うことで本体とバッテリーに大きな負荷がかかり、異常な発熱を伴うケースも。

このような使い方を日常的に行っていると、通常よりもバッテリーの劣化を早めてしまいます。そのため、電話やゲームなどを使用する際には、十分なバッテリー残量を確保したうえで充電ケーブルを抜いた状態で操作しましょう。

iPhoneは過充電の危険は低いものの、正しい使用方法を心がけることが重要

iPhoneは過充電の危険は低いものの、正しい使用方法を心がけることが重要
今回紹介してきたように、iPhone内部には充電を適切に制御するための仕組みが搭載されており、過充電によってバッテリーが爆発したり発火したりする危険性は低いといえます。

しかし、だからといって、つねに充電ケーブルを差したままにしておくと、バッテリーの劣化を早めてしまうことにもつながります。バッテリーに関する正しい知識を身につけ、適切な使用環境下で操作するようにしましょう。

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今回はケーブル式の充電について解説しましたが、一言に充電といっても今は様々な方法があります。特にiPhoneユーザーにとって便利な充電方法がAppleのマグネット式チャージャーです。是非【Apple初のモバイルバッテリー「MagSafeバッテリーパック」とは?サードパーティ製品との違いも解説】を参考にしてみてください。

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