電池持ち以外にも影響するiPhoneのバッテリー劣化とおすすめの対策
iPhoneを長年使っていると、バッテリーの持ちが悪くなってくることがあります。これはバッテリーの経年劣化による典型的な症状として知られていますが、実はこれ以外にもバッテリーの劣化がさまざまな影響を及ぼすことをご存知でしょうか。
今回は、あまり知られていないバッテリーの経年劣化に伴う症状の事例をいくつかご紹介していきます。
目次
バッテリーの経年劣化で現れる典型的な症状
まずはバッテリーの経年劣化のよくある症状として、2つのケースを紹介します。
バッテリー残量の急激な低下
3年、4年と長年にわたってiPhoneを使用し続けていると、朝に満充電の状態だったのに昼には半分以下の残量にまで低下し、夕方になる前には0%になって電源が落ちてしまうことがあります。
このような症状はどれだけ正しい使い方をしていても現れてしまうもので、本体を買い換えるかバッテリーを新しいものに交換する以外は改善の方法がありません。バッテリーはあくまでも消耗品であり、どれだけ本体をきれいに使っていても劣化は避けられないのです。
突然のシャットダウン
バッテリーの経年劣化が進んできた際のもう一つの典型的な症状として、何の前触れもなく突然シャットダウンすることがあります。
iPhoneの内部にはインピーダンスとよばれる抵抗が存在し、バッテリーの経年劣化にともない抵抗値も大きくなります。すると内部の電圧が急激に下がり、場合によってはiPhone内部にあるさまざまな電子部品に悪影響を及ぼすことがあります。
これを未然に防ぐために、iPhoneに搭載されている「電源管理システム」では、バッテリーから供給される電圧が一定数まで低下した場合、電子部品を保護する目的で強制的に電源をシャットダウンするように設計されているのです。
意外と知られていない経年劣化の症状
バッテリー残量の急激な低下と突然のシャットダウン以外にも、実はあまり知られていない症状があります。一見バッテリーとは関連性が低いように見える症状も、実は大きく影響している可能性もあります。普段iPhoneを使用しているなかで、以下のような症状がないか今一度振り返ってみましょう。
アプリの起動に時間がかかる
アプリをタップしたとき、普段よりも動きが遅く起動に時間がかかることはないでしょうか。一般的にこのような症状が見られた場合、多くの方はメモリを開放するために立ち上げている他のアプリを終了したり、iPhoneを再起動するなどの対応をとるはずです。
しかし、これらの対処をしても同じように挙動が遅い場合は、バッテリーの劣化が影響しているかもしれません。
ディスプレイが暗くなる
特に何も操作をしておらず、周囲も十分明るい環境なのにディスプレイが急に暗くなることがあります。これもiPhoneのバッテリー劣化にともない、自動的にパフォーマンス管理の機能が働いていることが理由として考えられます。
ディスプレイはiPhoneのなかでも特に多くの電力を消耗するパーツです。ディスプレイの輝度が高くなればなるほど、バッテリーも早く消耗する傾向にあります。特に真夏の炎天下での使用時は、自動的にiPhoneの輝度も最大値まで引き上げられ、バッテリーが早く消耗していることに気付く方も多いはず。
ディスプレイが普段よりも暗いと感じたら、バッテリーの劣化が進行している可能性があることを覚えておきましょう。
スピーカーの音量低下
ディスプレイと並んで電力の消費が大きいパーツがスピーカーです。バッテリーの劣化が進行してくると、普段と同じ音量で聞いているのにボリュームが小さくなったと感じることがあります。これもバッテリーの劣化に合わせて、パフォーマンス管理の機能によって音量が制限されるために起こる症状です。
普段ヘッドホンで音楽を聞いている方の場合は気付きにくいかもしれませんが、音声通話の際にスピーカーホンの機能を使用している方は注意深く観察してみましょう。
フレームレートの低下
フレームレートとは画面上で動くコマの数を指します。特にフレームレートの変化で気づきやすいのが、WebページやSNSなどを上下にスクロールする際の速度です。
iPhoneは滑らかなスクロールが魅力で使いやすいインターフェイスが魅力ですが、どこか不自然にカクカクとしていて、滑らかにスクロールできない症状が現れることがあります。
もちろん、一時的な不具合やメモリ不足によって起こる可能性もあるのですが、メモリ解放や再起動を試した後も同様の症状が現れる場合はバッテリーの劣化を疑ってみるのも良いでしょう。
バッテリーの劣化を防ぐための対策
iPhoneに搭載されているリチウムイオンバッテリーは消耗品であり、5年や10年単位で使い続けるものではありません。バッテリーが消耗してきたら新しい機種に買い換えるか、内蔵されているバッテリーを新品に交換する必要があります。
しかし、せっかく購入したiPhoneだからこそ、できるだけ長く使い続けたいと思うのはユーザーにとって当然のこと。そこで、バッテリーをできるだけ長持ちさせるために有効な対策をいくつかご紹介します。
高温・低温の環境下で使用しない
iPhoneの使用が推奨されている気温は0〜35℃、保管は-20〜45℃までの範囲となっています。これよりも低温または高温の環境下ではバッテリーおよび本体に大きな負荷がかかり、バッテリーの寿命を縮めてしまうことにつながります。
特に真夏の炎天下での使用や、車内への放置などは注意が必要で、あまりにも高温の環境下に長時間さらされていると、iPhoneの画面上に警告が出てくることもあります。
「ながら充電」をしない
「電話をしながら充電」「ゲームをしながら充電」など、いわゆる「ながら充電」はバッテリーに大きな負担をかけてしまいます。特にゲームなど高負荷の処理が要求されるコンテンツを起動していて、iPhone本体が異様に高温になる経験をした方も多いのではないでしょうか。これはiPhone内部のチップに負荷がかかっている証拠であり、その熱がバッテリーにまで影響することで寿命を縮めてしまうことになるのです。
充電のタイミングに注意する
バッテリーにとって負担のかからない使い方として「0%まで使い切ってから充電する」という事例が挙げられることがあります。しかし、リチウムイオンバッテリーにとってこのような使い方は大きな負担となり、逆に寿命を縮めてしまう結果になりかねません。
リチウムイオンバッテリーにとって理想的な充電の方法は、30〜40%程度まで残量が減ってきたら、70〜80%程度まで充電することが理想的です。つねに100%の充電を維持することも理想的とはいえず、こまめに中間程度の充電残量を維持することがバッテリーにとって負担が少ない方法といえるのです。
バッテリーの状態を把握する方法
現在使用しているiPhoneのバッテリーが、どの程度劣化しているのか気になる方も多いのではないでしょうか。
iPhoneの「設定」を選択し「バッテリー」「バッテリーの状態」をタップすると、「最大容量」という項目が出てきます。これは新品のバッテリーと比較したとき、どの程度の最大容量にあるのかを示したもの。この数値が低ければ低いほど、バッテリーの劣化は進行しているため早めの対処が必要になります。
ちなみに、「バッテリー」の項目内には過去のバッテリー残量の履歴や充電のタイミング、さらにはバッテリーを消費している割合の大きいアプリも表示されるため参考にしてみてはいかがでしょうか。
パフォーマンスの低下が見られたらバッテリーの状態も確認してみよう
iPhoneに搭載されているバッテリーは、あらゆる場面で症状として現れてくることが分かります。一見するとバッテリーが原因なのか、本体のスペック不足が問題なのか分かりにくいものも多いですが、iPhoneのメニューからバッテリーの状態を確認したうえで、他に症状が出ていないかも含めて確認してみましょう。