想定外の売れ行きに困惑も?「iPhone SEが爆売れ」の理由

想定外の売れ行きに困惑も?「iPhone SEが爆売れ」の理由

2020年春に満を持して発売となった2代目iPhone SE。発売から数ヶ月が経過しましたが、ショップやオンラインストアでは爆発的な人気を誇り、主力製品となっています。しかし、iPhone SEは最新スペックが搭載されたiPhone 11シリーズとは異なり、いわば機能が制約された廉価版モデル。にもかかわらず、なぜこれほどまでに爆売れしているのでしょうか。

今回は、あらためてiPhone SEの魅力に迫っていくとともに、想定外の売れ行きにともなって懸念されることもあわせて解説していきましょう。

出典:apple

好調な売れ行きのiPhone SE

好調な売れ行きのiPhone SE

BCNでは日本国内のスマートフォン販売台数を毎週調査しています。最新の調査によると、2020年8月17日〜23日の間でもっとも売れたのはAppleのiPhone SE 64GB(au)2位にiPhone SE 64GB(SoftBank)、そして4位にはiPhone SE 64GB(docomo)圧倒的な強さを見せています。

ちなみに、同じくAppleのiPhone 11シリーズで最上位となっているのは、15位にランクインしているiPhone 11 64GB(SoftBank)。iPhone 11はモデル末期とはいえ、スペックや機能はiPhone SEよりも充実しているはず。にもかかわらず、これほどまでにiPhone SEとの差が開いていることに驚きを隠せません。

しかし、なぜこれほどまでにiPhone SEは高い支持を集めているのでしょうか。その背景にあるポイントを考察してみると、ユーザーがiPhoneに対して本当に求めている機能や役割が見えてきます。

iPhone SEが支持される理由

iPhone SEが支持される理由

iPhone SEの最大の特徴は、チップなどの内面的なスペックは最新のiPhone 11シリーズと同等の性能であるにもかかわらず、デザインや機能はiPhone8に寄せたレガシーなものになっていることが挙げられます。しかし、これは決してネガティブな意味ではなく、iPhone SEが売れている理由と照らし合わせたときにその本質が見えてきます。

基本スペックの高さ

iPhone SEの最大の特徴として、基本スペックの高さが挙げられます。搭載しているチップは、A13 Bionicチップ。耐水性能はiPhone 11のほうが上ですが、iPhone SEも生活防水レベルの性能は有しており、通常使用の範囲内で困ることは少ないでしょう。

ストレージはiPhone 11 Proが64GB、256GB、512GBであるのに対し、iPhone SEは64GB、128GB、256GBの3種類。高画質の動画を頻繁に保存するような使い方をしない限り、iPhone SEのストレージ容量でも十分実用性は高いといえます。

スマートフォンの一般的なユーザーのなかには「高性能化しているiPhoneシリーズは自分にとってオーバースペックである」と感じている方もいるはず。そのような方にとって、iPhone SEはまさにニーズにマッチした1台といえるのではないでしょうか。

購入しやすい価格帯

iPhone 11 Proをはじめとして、近年のiPhoneシリーズは高性能化に拍車がかかり、10万円を超える機種も決して珍しい存在ではなくなりました。これはiPhoneに限ったことではなく、Androidにも同様の傾向が見られますが、それでもiPhoneシリーズは高級感があり価格帯も高額な機種として認識されています。

PCに比べるとスマートフォンは買い替えのサイクルが早く、3〜4年、早い方では1年で機種変更をする方もいます。当然のことながら端末代金が高額になると毎月の通信料金にも反映され、重い負担がのしかかってきます。

最新モデルのなかでもiPhone 11 64GBは税別74,800円と比較的手頃ですが、iPhone SEはさらに手頃な44,800円という価格で購入できます。ちょうど3万円の差がありますが、たとえばこれを24ヶ月で計算するとひと月あたり1,250円の差になります。5万円を切る価格帯であれば、分割ではなく一括支払という選択肢もとりやすく、ユーザーにとっては大きな魅力であることに違いありません。

手ごろなサイズ感

近年のiPhoneシリーズは基本スペックや機能の向上もさることながら、画面サイズも年々大きくなっている傾向が見られます。確かに画面サイズが大きければ大きいほど見やすく、魅力的な機種に感じられるものです。

しかし、特に手の小さな女性にとっては片手で操作ができず、文字を打つ際に両手が塞がってしまうという悩みがありました。しかし、iPhone SEはiPhone8やiPhone7などの端末と同じ4.7インチのディスプレイを採用。長い間にわたってこのサイズに慣れ親しんできたユーザーも多いことから、使いやすさを重視してiPhone SEを選ぶという方も多いのです。

Touch ID

2020年は新型コロナウイルスによってさまざまな影響があった年でした。多くの人はつねにマスクを身につけ、真夏も熱中症とのリスクと戦いながらコロナ対策を行っています。

日常生活におけるマスクの弊害のひとつとして浮上してきたのが、iPhoneに搭載されているFace IDの存在です。顔認証システムであるFace IDは、当然のことながらマスクを装着していると認識できず、わざわざパスコードを入力してiPhoneを開かなければなりません。

しかし、iPhone SEには物理ボタンが残されたため、Face IDではなく指紋認証のTouch IDが引き続き採用されることに。マスクをしていてもストレスなくiPhoneを開けるということもあり、コロナ禍においても重宝されたのです。

想定外の売れ行きに対して懸念されることも

想定外の売れ行きに対して懸念されることも

iPhone SEの爆発的な売れ行きは、今後大手キャリアの戦略にも影響を及ぼす可能性が指摘されています。2020年は5G元年ともよばれ、5Gの商用サービスが開始された年でもあります。しかし、iPhone SEは5Gに対応している機種ではありません。

また、iPhone8以前のモデルや初代iPhone SEから買い替えたユーザーも多く、比較的長期にわたって同じ端末を使い続ける傾向が高いと予想されます。結果として5Gへの積極的な移行が進まない懸念も指摘されているのです。

ただし、iPhoneシリーズにおいて5G対応端末は発表されておらず、2020年秋以降に発表されるiPhoneで本格的な移行が始まるのではないかという見方もあります。

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