風水害の季節到来 iPhoneの緊急速報はどう設定する?おすすめの防災アプリも紹介
梅雨時から秋にかけては大雨や台風が発生しやすい時期でもあり、災害のリスクが高まります。災害と聞くと地震や津波をイメージする方も多いですが、過去を振り返ってみると西日本豪雨や大型の台風など風水害も甚大な被害をもたらしています。
いつ起こってもおかしくない災害に備え、iPhoneで正確な情報を収集できるよう対策を講じておきたいものです。そこで本記事では、iPhoneの緊急速報の受信設定や、おすすめの防災アプリ、フォローしておきたいSNSアカウントなども紹介します。
目次
日本で高まる大模災害のリスク
日本では2011年に発生した東日本大震災以降、大規模災害に対する警戒が高まり、自治体はもちろん企業や個人においても何らかの対策を講じています。
大規模災害と聞くと阪神淡路大震災や東日本大震災のような地震・津波をイメージする方も多いですが、ここ数年は2018年に西日本を襲った西日本豪雨や、2019年の台風19号などのように、風水害による甚大な被害も顕在化しています。
本来、台風や大雨は数日前や前日までにある程度の予想ができ、気象情報を確認していれば多くの人は有効な対策を講じやすいものでした。しかし、局所的な大雨をもたらすゲリラ豪雨や線状降水帯は従来のような予測が難しく、被害も想定しにくいのが現状です。
災害大国でもある日本では、いつどのような自然災害に見舞われるか危険と隣合わせの状態にあることから、スマートフォンでいち早く情報を得られる様々なアプリや情報コンテンツが整備されています。
iPhoneで受信可能な緊急速報
iPhoneにはあらゆる災害をいち早く通知するための機能が搭載されています。具体的にどのような情報を通知してくれるのか詳しく紹介しましょう。
緊急地震速報
緊急地震速報は、最大震度5弱以上の地震発生時に、震度4以上が予測される地域に対して一斉に配信する緊急速報です。
緊急地震速報が配信される仕組みは、地震が発生する際の「P波」とよばれる初期微動を検知し、瞬時に通信キャリアにその情報が配信され各端末へ通知されるというものです。これは通信キャリアに関係なく同じ仕組みであり、緊急地震速報が配信されると専用の警報音が鳴り、その内容が画面に表示されます。
津波警報
津波警報は、大規模地震などが発生した際に震源地と地震規模を特定し、津波の到来が予想される地域に対し一斉に配信される緊急速報です。
ただし、津波警報としてiPhoneに配信されるのは、気象庁から「津波警報」および「大津波警報」が発表されたときのみで、津波注意報は届きません。津波警報も緊急地震速報と同様に、警報音と画面表示で知らせてくれます。
特別警報(災害・避難情報)
緊急地震速報や津波警報以外にも、危険がおよぶと判断された場合に国および地方自治体が発令する「〇〇特別警報」が配信されることがあります。特別警報の種類は大雨、暴風、高潮、波浪、大雪、暴風雪の6種類です。
たとえば、大雨や強風、豪雪などによって家屋の倒壊や浸水が予想される場合、自治体は避難を呼びかけることがありますが、このときにもiPhoneへ通知が届きます。
Jアラート(J-ALERT)とは、全国瞬時警報システムといい、弾道ミサイル情報、緊急地震速報、大津波警報など、瞬時に避難しなければいけない事態が発生した場合に配信される警報システムです。国から住民まで瞬時に伝達することが重要な目的です。
iPhoneの緊急速報設定手順
iPhoneに限らず、ほとんどのスマートフォンやタブレット端末などは初期設定の段階で緊急速報の機能が「ON」の状態になっています。しかし、何らかの操作によって設定をOFFに切り替えてしまうと、緊急時に必要な情報が届かず命の危険を伴う場合があります。
もし、地震や大規模災害発生時に緊急速報が届かない場合には、以下の設定を確認してみましょう。
- 「設定」→「通知」をタップ
- 「設定」→「通知」をタップ
- 「緊急速報」をONに切り替え
なお、「常に警報音を鳴らす」をOFFにすることも可能ですが、これは常に警報音を鳴らさないというものではなく、消音モードのときのみ警報音を鳴らさない設定に変更する機能です。
iPhoneの緊急速報は居住エリア以外も受信できる?
上記で紹介した通り、iPhoneの緊急速報は現在の位置情報をもとに、対象エリアにいるユーザーにのみ配信される仕組みとなっています。そのため、たとえば北海道を震源とする地震が発生し、道内に緊急地震速報が配信されたとしても、東京都内のユーザーにはその通知が届きません。
また、緊急地震速報を受信するエリアについても、個別に選択・設定することはできません。たとえば、東京都内在住のユーザーが、北海道や東北地方の緊急速報を受け取ることは不可能であり、あくまでも現在地をもとに配信するユーザーが絞り込まれることになります。
これは、緊急速報の仕組みが影響しています。緊急地震速報や津波警報、特別警報などは、通信キャリアが管理する基地局が、その基地局にある端末すべての端末に対して一斉配信(ブロードキャスト)するという仕組みを採用しているためです。
一斉配信の仕組みを採用している大きな理由は、通信の混雑(輻輳)を避けるためです。1対1の通信を実現しようとすると、それぞれの基地局が通信の制御をしなければならず、利用者が増えれば増えるほど通信の回線が混雑し遅延が発生します。しかし、1対1ではなく、1対全ユーザーの形で通信ができれば、テレビ放送のように利用者数が多くなっても通信回線がパンクすることなくスムーズに情報を届けられるのです。
防災アプリとの併用もおすすめ
iPhoneに限らず、スマートフォンの緊急速報は位置情報をもとに対象のユーザーが絞り込まれることを紹介しました。しかし、現状の仕組みのままだと不安に感じる方も多いでしょう。たとえば、自分自身は地元から離れ都心部で生活しており、家族は地方の実家で生活しているというケースです。
このような場合、東京都内は無事であっても、離れた場所で暮らす家族に危険が迫っていることも考えられるのです。緊急速報の個別のエリア設定ができないとなると、いち早く災害情報を知るためには別の方法を検討しなければなりません。
そこでおすすめなのが、防災アプリとの併用です。防災アプリのなかには、居住エリア以外の緊急速報であってもプッシュ通知で知らせてくれるものもあります。特に信頼性が高く安心して使える防災アプリを3つ紹介しましょう。
特務機関NERV防災
- App Store:NERV防災
- Google Play:特務機関NERV防災
アニメ「エヴァンゲリオン」でおなじみの特務機関NERVをモチーフにした防災アプリです。エヴァンゲリオンの著作権者と許諾を結び公式に使用されており、あらゆる防災情報を、気象庁と共同開発した独自システムで国内最速レベルの配信を可能としています。
あらゆる人にとって使いやすく、ユーザービリティに優れた防災アプリとしても知られており、たとえば色覚特性に対応した配色やコントラストの細かな調整、文字の大きさや太さなども調整できます。
特務機関NERV防災は無料で利用できるプランと、サポーターズクラブとよばれる有料のプランがあります。サポーターズクラブに登録すると、新機能をいち早く利用できる権利やデジタル会員証、会員限定コンテンツなども利用できます。なお、無料プランであったとしても、アプリ内に広告などは一切配信されません。
アプリをインストールした初期段階では、緊急速報と同様に現在地のみの速報が届く設定となっていますが、任意でほかのエリアを追加することもできます。これにより、たとえば東京都内在住のユーザーが、北海道や東北といった遠方地域の緊急速報を受信できるようになります。
無料プランの場合、3地点まで追加可能ですが、サポーターズクラブへ入会すると6地点まで拡充することもできます。
Yahoo!防災速報
- App Store:Yahoo!防災速報
- Google Play:Yahoo!防災速報
インターネットポータルサイトとしておなじみのYahoo!が提供する防災アプリです。
ダウンロード数は累計5,000万にもおよび、配信される情報は地震速報や津波予報、土砂災害、豪雨予報など多岐にわたります。また、それ以外にも、熱中症情報や地域の防犯情報、自治体からの緊急情報などもカバーしており、安全を確保するうえでもぜひインストールしておきたいアプリです。
また、災害が発生したときの情報だけでなく、避難場所リストや緊急連絡先、ハザードマップなど日常生活のなかで役立つ防災手帳として活用することもできます。
現在地の緊急速報はもちろんですが、それとは別に国内3地点まで設定できるため、家族の安全確保や安否確認にも重宝するでしょう。
なお、Yahoo!防災速報はアプリ内課金が一切なく、すべての機能を無料で利用できます。
NHKニュース・防災アプリ
https://www3.nhk.or.jp/news/news_bousai_app/index.html
- App Store:NHK ニュース・防災
- Google Play:NHK ニュース・防災
NHKが提供しているニュース・防災用のiPhoneアプリです。
大規模災害が発生すると多くの人はパニックに陥り、ときには誤った情報やデマに惑わされることもあるでしょう。そのため、防災アプリを選ぶ際には信頼できる事業者が運営しているか、情報の提供元まで確認することが重要です。そのような意味でも、NHKが提供するこのアプリは信頼性が高く災害時に頼りになる存在といえるでしょう。
雨雲や地震の情報を細かく確認できるマップ機能のほか、全国各地の災害情報や避難情報もスマートフォンで簡単に確認できます。
また、他社のアプリと決定的に違うのは、NHKが提供するニュースや天気予報もひとつのアプリで確認できることです。特に災害時に停電に陥ったとき、テレビが見られず不安に感じる方も少なくありません。そのようなときでも、NHKニュース・防災アプリがあればリアルタイムで放送内容を見られるため、スマホの操作に慣れない高齢者にとっても安心です。
おすすめアプリの比較表
アプリ名 | 事業者 | 料金 | 特徴 |
---|---|---|---|
特務機関NERV防災 | Gehirn | 無料(有料プランあり) | 音声での読み上げや色覚特性に対応 |
Yahoo!防災速報 | Yahoo Japan | 無料 | ハザードマップや避難場所リストも表示 |
NHKニュース・防災 | NHK | 無料 | 災害外のニュースもリアルタイムで視聴可能 |
フォローしておきたいTwitterアカウント
防災対策においては、防災アプリだけでなくSNSで速やかに情報を収集する方法も効果的です。しかし、SNS上には根拠に乏しい情報や、信ぴょう性に疑問が残る情報も多く溢れています。
そのようななかでも、特に信頼性が高くフォローしておくべきTwitterアカウントを紹介しましょう。
1.気象庁防災情報
気象庁が運営するアカウントで、地震はもちろんのこと台風や大雨、火山噴火といったあらゆる自然災害の最新情報を提供します。
ただし、公式アカウントのプロフィール欄にも記載されていますが、警報等の情報を都度発信することはなく、今後の見通しや予測、現況などを中心にツイートしているため、緊急速報を提供してくれる防災アプリと併用することがおすすめです。
2.ウェザーニュース
民間の気象情報会社であるウェザーニュース社が運営しているアカウントです。数ある気象予報のなかでも特に高い精度として定評があり、Twitterフォロワー数は60万人以上に達します。
台風や大雨といった災害の予測はもちろんですが、週間天気予報や紫外線情報、服装予報、ゲリラ豪雨に関する予報なども細かな情報を提供しており、日常生活においても役立つはずです。
3.特務機関NERV
防災アプリでも紹介した特務機関NERVのTwitterアカウントです。東日本大震災の発生時、すでに運用されていた本アカウントは、多くの人に有益な情報を提供したことでも知られており、地震や大雨、台風といった情報のほか、停電や断水などのライフラインに関する情報も速報で提供しています。
フォロワー数は196万以上に達しており、防災対策にあたって信頼できるアカウントのひとつといえるでしょう。
4.内閣府
内閣府の公式アカウントです。大規模災害やテロなどが発生したとき、政府は国民に対してさまざまな情報を提供します。多くの場合、テレビやラジオなどの中継によって情報を得ることになりますが、もし停電によってテレビが見られない状況にあるとき、SNSが貴重な情報収集の手段になります。
内閣府では公式のTwitterアカウントを開設しており、緊急時にはさまざまな情報が更新されていきます。デマに惑わされないようにするためにも、内閣府公式のアカウントをフォローし一次情報を取得できる体制を整えておきましょう。
おすすめTwitterアカウント
アカウント名 | 運用者 | フォロワー数 | 特徴 |
---|---|---|---|
気象庁防災情報 | 気象庁 | 39万 | 天気の見通しや予測、現況などが中心 |
ウェザーニュース | ウェザーニュース | 60万 | 紫外線情報、服装予報など生活密着型 |
特務機関NERV | 特務機関NERV | 196万 | 停電や断水などライフライン情報も発信 |
内閣府 | 内閣府 | 9万 | 災害、政治などの一時情報を取得可能 |
iPhoneの設定確認やアプリ準備も重要な防災対策
夏から秋の季節は大雨や台風が頻発することから、iPhoneの緊急速報の設定を確認しておいたり、防災アプリをインストールしておいたりする必要があります。
基本的に緊急速報は初期設定の状態から変更せず、つねに受信できる状態にしておきましょう。また、緊急速報と併用して防災アプリやTwitterなども活用することで、離れて暮らす家族や友人などの安否も確認できるようになります。
平時に有効な対策を講じることで非常時に安全で確実な行動がとれるようになります。