Appleのビンテージ製品とは?古い端末を修理する方法も解説
iPhoneシリーズの登場からすでに15年以上が経過した現在、古い端末を長年使い続けているという方も多いのではないでしょうか。
しかし、iPhoneやiPadのなかにはビンテージ製品やオブソリート製品というものがあり、Appleに修理を依頼しても断られてしまう場合があります。
本記事では、ビンテージ製品やオブソリート製品とは何かを解説するとともに、Apple製品の修理可否を調べる方法や古い端末を修理する方法などもあわせてご紹介します。
目次
Appleのビンテージ製品とは
Appleのビンテージ製品とは、販売店への供給を終了してから5年以上が経過し、なおかつ7年未満の製品を指します。
ビンテージ製品として認定されると、OSアップデートの対象外となったり、修理用パーツの入手が困難になったりすることもあります。
”ビンテージ”と聞くと付加価値の高い製品というイメージをもたれがちですが、iPhoneやiPad、MacといったApple製のハードウェアに関してはデメリットが大きいのです。
ビンテージ製品とオブソリート製品の違い
Appleのビンテージ製品と関連するワードとして、オブソリート製品というものもあります。
オブソリート製品とは、販売店への供給終了から7年以上が経過した製品のことを指します。
これに認定された製品は修理受付が完全に終了しApple公式の修理が受けられなくなります。
ビンテージ製品と混同されがちなオブソリート製品ですが、ビンテージ製品の場合は修理用パーツの在庫次第では修理が受けられる場合もあり、完全に修理不能となるわけではありません。
しかし、オブソリート製品の場合は修理の受付が完全に停止するため、Apple以外で修理に対応してくれる専門店に相談するか、新たな製品に買い替えるなどの対策が必要になります。
iPhoneやiPadを含むiPhone製品は基本的に7年が経過するとオブソリート製品として認定されますが、例外的にMacノートブックのみは最長10年まで期間が延長され、パーツの在庫次第では修理が可能な場合もあります。
ビンテージ製品やオブソリート製品が認定される理由
そもそも、なぜAppleでは一定期間が経過するとビンテージ製品やオブソリート製品として認定されるのでしょうか。
iPhoneやiPadをはじめとしたAppleのハードウェアは、無数のパーツによって構成されており、現行モデルが廃止になった後も交換用パーツとして一定期間製造が続けられます。しかし、毎年のように新型モデルが発売されるiPhoneやiPadの場合、過去モデルのパーツを製造し続けるにも限界があり、サプライメーカーの負担も増大してしまいます。
また、古いモデルになるほど交換用パーツの需要も減っていくため、コストが割高になっていきます。
製品そのものの安定供給と修理用パーツの製造にかかるリソースのバランスを最適化するためにも、一定期間が経過した製品については修理用パーツの製造を終了する必要があるのです。
これはApple製品のみならず、自動車や家電製品など多くの工業製品に共通する理由です。たとえば、30年前や40年前に製造された自動車を修理しようとしても、メーカー側で交換用パーツを取り扱っておらずディーラーで修理することはできません。
Apple製品の修理可否を調べる方法
自身が所有しているiPhoneやiPadが修理可能かどうかを判断するためにはどのような方法があるのでしょうか。
AppleのWebサイトでは、ビンテージ製品とオブソリート製品をそれぞれ公開しており、以下のページから最新の状況を確認できます。
ちなみに、2023年11月時点でのビンテージ製品とオブソリート製品は以下の通りです。
ビンテージ製品
iPhoneシリーズ | iPadシリーズ |
---|---|
iPhone 4 | iPad Air |
iPhone 5 | iPad Air 2 |
iPhone 5S | iPad mini 2 |
iPhone 6 | iPad Pro 9.7 インチ |
iPhone 6 Plus | iPad Pro 12.9 インチ |
iPhone 6s | iPad(第 5 世代) |
iPhone 6s Plus |
オブソリート製品
iPhoneシリーズ | iPadシリーズ |
---|---|
iPhone | iPad Air |
iPhone 3G | iPad mini |
iPhone 3GS | iPad mini 3 |
iPhone 4 | iPad (第 4 世代) |
iPhone 4s | iPad(初代) |
iPhone 5c | iPad(第 3 世代) |
iPad 2 |
所有しているiPhoneやiPadがどのモデルか分からない場合には、以下の方法で確認できます。
モデル番号の確認方法
- 「設定」
- 「一般」
- 「情報」
- 「モデル番号」を確認
Appleのビンテージ製品・オブソリート製品を修理する方法
ビンテージ製品やオブソリート製品として認定されたiPhone・iPadは、Appleへ修理を依頼しても断られてしまう可能性があります。しかし、思い出の詰まったiPhone・iPadのため処分できないという方もいるでしょう。
そのような場合に、古い製品を修理するにはどういった方法があるのでしょうか。
修理専門店へ依頼
もっとも安心で確実なのは、修理専門店へ依頼することです。iPhoneやiPadの修理は、基本的に内部を分解し不具合のあるパーツを交換するという作業が必要になります。しかし、ビンテージ製品やオブソリート製品はAppleに交換用パーツの在庫が残っていないことが多く、修理の相談や依頼の時点で断られてしまうケースがあります。
一方、iPhoneやiPadの修理専門店では、古い端末の交換用パーツが在庫としてストックしてあるケースも多く、ビンテージ製品やオブソリート製品であっても在庫次第で修理に対応してくれる可能性があるのです。
自分でパーツを購入し交換
ネットオークションなどで「iPhone 修理」や「iPhone パーツ」といったキーワードで検索すると、交換用パーツが見つかる場合があります。
また、ジャンク品として販売されている古い製品から交換用パーツを分解し、修理用のパーツとして再利用することもできるでしょう。DIYでiPhoneやiPadの修理に挑戦するユーザーも多いことから、Apple製品専用の特殊な工具などもネットで入手できます。
ビンテージ製品やオブソリート製品の修理に対応した専門店の探し方
すべての修理店がビンテージ製品やオブソリート製品の修理に対応しているとは限りません。古いApple製品の修理を依頼する場合、どのような方法で店舗を探せば良いのでしょうか。
近所の修理店を検索
まずは自宅の近所にある修理店を探し、直接問い合わせてみましょう。
iPhoneやiPadといったApple製品に特化した修理店であれば、ビンテージ製品やオブソリート製品の交換用パーツが在庫としてストックしてある可能性もあり、個別に相談することで修理に対応してもらえる可能性があります。
近所に複数の店舗があって直接お店を回るのが大変な場合には、電話やメール、チャットなどで問い合わせてみましょう。
ビンテージ製品やオブソリート製品の交換用パーツが在庫として残っていない場合を想定し、ネットオークションなどで交換用パーツを探しておくのもおすすめです。修理店によっては、交換用パーツを持ち込むことで修理作業のみを依頼することもできます。
宅配修理に対応した店舗を検索
近所に修理店が見つからない、あるいはビンテージ製品やオブソリート製品の修理を断られてしまった場合には、宅配修理に対応した業者を探してみるのもおすすめです。
ネットで「iPhone ビンテージ製品 修理」などのキーワードで検索すると、古いApple製品の修理に対応した業者がヒットします。各業者のWebサイトを確認し、宅配修理に対応しているところに電話やメールなどで相談し、交換用パーツの在庫や修理可否について聞いてみましょう。
宅配修理に対応していれば、遠方にある修理店であっても宅配便で端末を送り、見積もりから修理までをワンストップで依頼できるため安心です。
ビンテージ製品やオブソリート製品修理のリスク
ビンテージ製品やオブソリート製品の修理にあたっては、リスクも伴います。
本来、AppleやApple認定サービスプロバイダでの修理後は一定の保証が付帯し、万が一修理後にトラブルなどが生じても再修理や交換などが受けられます。しかし、ビンテージ製品やオブソリート製品の場合はサポートそのものが終了していることから、Appleの正規ルート以外での修理に頼らざるを得ず、当然のことながら保証の対象外となってしまいます。
仮に、修理作業が失敗に終わったとしても、再修理が不能になるリスクがあることを理解したうえで依頼しなければなりません。
また、ユーザー自身で交換用パーツを購入し修理を行う方法もありますが、こちらも同様に自己責任のもとで作業をしなければならず、仮に失敗したとしても一切の保証を受けることはできません。
作業中の事故やミスを避けるためにも、できるだけプロの専門業者へ修理を依頼するのが理想といえるでしょう。
修理不能になる前に講じておきたい対策
iPhoneやiPadは現実的に考えて10年、20年と使い続けられるものではなく、サポートの終了とともに修理を断られてしまうリスクがあります。
しかし、本体は買い替えることができても、保存されているデータが消失することで仕事に大きな影響が出る可能性もあるでしょう。このような事態を防ぐためにも、事前に講じておくべき対策があります。
修理可能期間の把握
まずは現在使用している端末が、ビンテージ製品やオブソリート製品に該当していないかを確認しておくことが大切です。iPhoneの場合、以下の手順でモデル名称を確認できます。
モデル名称の確認
- 設定
- 一般
- 情報
- 「機種名」
上記にある「機種名」には、たとえば「iPhone 15」や「iPhone 14」といった名称が記載されています。また、「Apple製品の修理可否を調べる方法」でも紹介した通り、モデル番号で検索する方法もあります。
2023年11月現在、iPhone 4からiPhone 6sの製品を使用している場合、不具合が発生すると修理を断られてしまう可能性が高いことから、できるだけ早めに新端末への買い替えを検討する必要があるでしょう。
データのこまめなバックアップ
端末の故障と同時にデータの消失を防ぐためには、こまめにバックアップをとっておくことが大切です。
現在、AppleではiCloudというサービスを提供しており、「iCloudバックアップ」という機能を活用すれば自動的にバックアップを作成することができます。以下の手順でiPhoneの設定を確認し、iCloudバックアップが利用できる状態にしておきましょう。
自動バックアップの設定方法
- 設定
- 上部に表示されるユーザー名をタップ
- iCloud→iCloudバックアップ
- 「このiPhoneをバックアップ」をオン
iCloudは5GBまで無料で利用できますが、写真や動画などの容量によっては5GBに保存しきれないことも考えられます。その場合には、有料プランへの移行も検討しましょう。たとえば、50GBの場合は月額130円、200GBであれば月額400円で利用できます。
古いiPhoneは修理のリスクがつきもの
iPhoneやiPadに限らず、古い製品を愛着をもって丁寧に使い続けることは良いことです。
しかし、精密機器を含む工業製品に故障や不具合はつきものであり、あまりにも古い製品は交換用パーツの在庫がなく、修理を断られてしまう可能性があります。
まずは現在使用しているiPhone・iPadがビンテージ製品やオブソリート製品として認定されていないかを確認し、必要に応じて買い替え時期を慎重に検討しましょう。
何らかの事情があってビンテージ製品やオブソリート製品を修理したい場合には、古い端末の修理に対応した専門店に個別に相談してみることがおすすめです。