Appleが個人ユーザー向けに修理用部品を提供することを発表!「セルフサービス」で何が変わる?

Appleが個人ユーザー向けに修理用部品を提供することを発表!「セルフサービス」で何が変わる?

長年iPhoneを使用していると、本体を落下させた衝撃でディスプレイが割れてしまったり、バッテリーが急速に消耗したりなどの不具合が現れることがあります。通常、このような症状が現れた場合、iPhoneを修理に出すか本体を買い換えるという選択肢に迫られます。機種変更したばかりで分割金の大半が残っている場合、機種変更するのは抵抗があり、修理を選択する方も多いでしょう。

そこでAppleは、2021年11月、ユーザー自身がiPhoneの修理を行える「セルフサービスリペア」を開始することを発表しました。これにより、従来の修理とはどのような点が変わるのか、どのような部品が供給されるのかも含めて詳しく解説します。

これまでのiPhoneの修理方法

これまでのiPhoneの修理方法

そもそも、現時点でiPhoneを修理する場合、どのような方法があるのかおさらいしておきましょう。修理方法を大きく分けると以下の3パターンに分類できます。

Appleのメーカー修理

ひとつ目は、AppleストアまたはAppleのサポートへ修理の依頼をする方法です。Appleのサポートへ問い合わせる際にはオンラインまたは電話での手続きが可能で、修理を依頼すると宅配業者が自宅まで修理端末を引き取りに訪問します。その後、端末はAppleリペアセンターへ配送され、通常5〜7営業日で本体が手元に返ってきます。

Appleが責任をもって修理をしてくれるため、もっとも信頼性が高く安心して依頼できる方法といえるでしょう。ただし、Appleストアは全国の主要都市にしかなく、Appleリペアセンターへの配送から手元に戻ってくるまで時間も要するため、iPhoneが使用できない期間が発生する点が大きなデメリットといえるでしょう。

正規修理店やキャリアショップへの持ち込み

Appleの直営店舗であるAppleストア以外にも、正規修理店とよばれるお店でもiPhoneの修理は可能です。また、NTTドコモやau、ソフトバンクといった大手キャリアショップでもiPhoneの修理受付を取り次いでくれます。Appleストアよりも店舗数が多く、すべての都道府県に店舗があるためアクセスはしやすいでしょう。また、店頭に修理用部品の在庫があれば、最短即日で修理・引き渡しが可能です。

ただし、修理用部品の在庫がなかったり、端末の状態によっては当日修理に対応できないケースもあります。その場合、メーカー修理と同様にAppleリペアセンターへの配送が必要となり、手元に戻ってくるまで1週間以上の時間を要することもあるでしょう。

非正規店への持ち込み

Appleからの認証を受けてはいないものの、iPhoneの修理に対応している店舗も存在します。このようなお店は非正規店とよばれ、Appleストアや正規修理店、キャリアショップよりも柔軟な対応ができるところも少なくありません。iPhoneの修理経験が豊富な専門スタッフが在籍している店舗も多く、さまざまな相談に乗ってくれる心強い存在といえるでしょう。

ただし、非正規店で修理をしたことにより、Appleの保証対象外となってしまうこともあります。メーカー保証期間が残っている場合にはメーカー修理や正規修理店、保証期間が切れてしまった場合には非正規店を利用するなどの使い分けがおすすめです。

メリット デメリット
Appleメーカー 最も信頼性が高い 修理期間が長い
正規修理店
キャリアショップ
店舗数が多い、状況により即日修理が可能 在庫状況などによっては修理期間が長引く
非正規店 修理後もデータが残るなど柔軟な対応 Appleの保証対象外となる可能性がある

個人向けに修理用部品が提供されるとどうなる?

個人向けに修理用部品が提供されるとどうなる?

では、今回Appleが発表した「セルフサービスリペア」が開始された場合、これまでの修理と何が変わるのでしょうか。

まず大前提として、上記で紹介したiPhoneの修理方法は「セルフサービスリペア」が開始された後もそのまま継続されます。あくまでも修理方法の選択肢が一つ追加されるものと考えておきましょう。

「セルフサービスリペア」のメリットとしては、正規の修理用部品をユーザーがAppleから購入でき、ストックしておくのが可能ということ。たとえば、内蔵バッテリーやガラスパネルなど、交換する確率が高いと思われる部品をあらかじめ確保しておけば、お店に出向くことなく自分自身ですぐに修理できるようになります。

ただし、Appleの部品は特殊な形状・規格で構成されているものが多く、一般的な工具などで修理できません。たとえば、Lightning端子の両脇を見ると小さなネジが確認できますが、ネジ山が極めて細かく専用のドライバーでなければ作業が不可能です。手先の器用さに自信がある方や、純粋にiPhoneの修理を楽しみたい方などにとっては「セルフサービスリペア」はおすすめといえるでしょう。

セルフサービスリペアのポイント
  • メリット
    消耗する部品などをあらかじめ自分で部品を調達し、修理できるので費用も時間も節約できる
  • デメリット
    必ず専用の道具を用い、マニュアル通りに正しく修理しなければ故障の原因となり得る

「セルフサービスリペア」の種類・開始時期

「セルフサービスリペア」の種類・開始時期

今回発表された「セルフサービスリペア」は、2022年初頭から米国でサービスを開始する予定となっています。その後、日本をはじめとして世界の国々でもサービス拡大が予定されていますが、具体的にいつ頃からスタートするかは未定の状況です。

また、提供予定の部品については、バッテリーやディスプレイ、カメラモジュールといったパーツがメインで、その数は200種類以上にもおよぶとしています。
ただし、「セルフサービスリペア」で部品供給の対象となるモデルは「iPhone12 」および「iPhone13」シリーズのみで、それ以前の端末は対象外となる見込みです。

ちなみに、Appleでは単に部品を提供するだけでなく、部品の交換手順やマニュアルもユーザー向けに公開する予定です。これまでiPhoneの修理経験がないユーザーが大半だと思いますが、Apple公式のマニュアルが提供されることで安心して作業できるのではないでしょうか。

開始時期 2022年初頭、米国から開始
対象モデル 「iPhone12 」および「iPhone13」シリーズのみ

今後はiPhone以外のデバイスにも拡大予定

「セルフサービスリペア」の種類・開始時期

今回、Appleが「セルフサービスリペア」の対象として発表したのはiPhoneのみですが、今後は「M1」チップを内蔵したMacなど、順次対象製品を追加していく予定とのことです。

これまでiPhoneの修理といえば「費用が高い」、「修理に時間がかかる」といった不満を抱えるユーザーも少なくありませんでした。しかし、今後「セルフサービスリペア」が開始されると、ユーザー自らが修理できるようになり、従来抱えていた不満の解消につながると期待されます。

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