iPhoneのDIY修理は可能?失敗したときの対処法も解説
iPhoneが破損したり不具合が生じた場合、AppleStoreやキャリアショップ、サポートへ修理を依頼するのが一般的です。しかし、高額な修理費用を節約するために、ユーザー自身によるDIYでの修理に挑戦する方も少なくありません。
DIY修理の経験がない方にとっては、そもそも素人がiPhoneを修理することは可能なのか、失敗するのではないかと不安に感じてしまうものです。
そこで本記事では、iPhoneのDIY修理に関する基礎知識やメリット・デメリット、万が一修理に失敗したときにどういった対処法があるのかも含めて解説します。
目次
iPhoneのDIY修理は可能?
そもそもiPhoneをユーザー自身がDIYによって修理することは可能なのでしょうか。
Amazonや楽天市場などのECサイトでは、iPhone用のガラスパネルやバッテリーなどの交換用パーツが安価に販売されており、一般のユーザーでも簡単に手に入れられます。
また、特に修理のニーズが高いガラスパネルやバッテリーの交換についてはWebサイトやYouTubeなどでも作業手順が詳細に紹介されており、これらを参照することで修理経験のない方でも作業に取り掛かることは可能です。
さらに、近年では欧米で「個人が修理する権利」が求められており、Appleが純正パーツや公式の修理マニュアルを提供する動きも見られます。
iPhoneが日本に上陸した2008年から、しばらくはiPhoneの修理=Appleへの依頼が必須、という風潮が続いてきましたが、2010年代後半頃からApple製品の修理専門店が増加し修理のパターンは多様化しました。
そして現在は、交換用パーツが広く流通したこともありユーザー自らがDIYで修理を行うというケースも増えているのです。
iPhoneのDIY修理のメリット・デメリット
iPhoneの修理をAppleや修理専門店などに依頼するのではなく、DIYによって修理することでどのようなメリットがあるのでしょうか。
また、その反対にデメリットとして考えられるポイントも紹介します。
DIY修理のメリット
DIY修理の主なメリットとして考えられるのは以下の2点です。
修理コストの節約
DIY修理の最大のメリットは、修理にかかる費用を大幅に抑えられることです。
たとえば、iPhoneの修理で特に多いガラスパネルの交換をAppleに依頼した場合、「iPhone 14」で4万2,800円の費用がかかります。しかし、ECサイトでは交換用パーツが数千円から1万円程度で販売されており、Appleへ修理を依頼した場合に比べると大幅にコストカットできます。
修理にかかる時間の節約
Appleへ修理を依頼する場合、サポートセンターへオンラインや電話で修理手続きを行い、その後修理端末を発送し完了するまで1週間以上の日数を要します。
AppleStoreやApple正規サービスプロバイダでは即日修理が可能な場合もありますが、事前に来店予約が必要なほか店舗へ直接出向く必要もあります。
しかし、DIY修理であればECサイトから交換用パーツを取り寄せ、到着次第作業に取り掛かることができるため修理にかかる時間の節約にもなるでしょう。
DIY修理のデメリット
DIY修理はメリットばかりとは限らずデメリットも存在します。
品質の低い交換用パーツがある
DIY修理に使用される交換用パーツには品質が低いものも存在します。
このような粗悪なパーツを使用した場合、本来の性能が維持されない可能性があるほか、耐久性や信頼性に問題を引き起こし、修理後に問題が再発する可能性があります。
Apple純正品ではない汎用パーツも存在しますが、オリジナルのパーツと異なる仕様や寸法の交換用パーツを使用した場合もiPhoneの正確な動作が損なわれることがあります。
失敗するリスクがある
DIY修理には一定の技術や知識が必要であり、作業手順に沿って正確に作業を進める必要があります。しかし、十分なスキルが備わっていないまま作業を進めてしまうと、修理に失敗するリスクがあります。
最悪の場合、iPhoneの内部基盤や外装を損傷させ、修理前よりも状態が悪化する可能性があるでしょう。
保証サービスを受けられない
iPhoneには購入時から1年間のメーカー保証が付帯しているほか、AppleCare+に加入することで保証期間の延長や保証内容を充実させることも可能です。
しかし、DIY修理を行うことで製品の保証が無効になることがあります。Appleが提供する保証が適用されない場合、修理や交換に関する追加の費用がかかる可能性があります。
iPhoneのDIY修理に必要なもの
iPhoneのDIY修理を行う場合、どのようなものを準備しなければならないのでしょうか。最低限用意しておくべき3つのものをご紹介します。
- 修理内容に応じたパーツ
- ペンタローブと呼ばれる専用工具
- 信頼できる作業マニュアル
交換用パーツ
iPhoneのDIY修理は、基本的に故障した部分を新しいものに交換する必要があります。
たとえば、液晶パネルに割れやヒビが生じた場合はガラスパネル、バッテリーの消耗が早くなった場合には交換用バッテリーなど、修理内容や修理箇所に応じて必要なパーツを取り寄せておきましょう。
専用工具
iPhoneの分解と組み立てには特殊な工具が必要です。ホームセンターなどで販売されているドライバーやレンチなどではネジのサイズが合わず、作業を進めることができません。
先端が1mmにも満たない精密なマイナスドライバーとプラスドライバーや、iPhoneに採用されている星型のネジに対応するペンタローブとよばれる工具が必要です。
これらはECサイトなどでも手に入れることは可能ですが、交換用パーツに付属していることも多いです。
交換作業マニュアル
iPhoneのDIY修理には、作業手順を正確に把握するために作業マニュアルが必要です。
交換作業のマニュアルはAppleのWebサイトでは公開されていませんが、一部の修理専門店などでは手順を解説したWebサイトを公開しています。また、より視覚的に理解するためにYouTubeなどのビデオガイドも参考になります。
iPhoneのDIY修理で多い失敗
iPhoneのDIY修理で多い失敗
- 小さい部品の紛失
- 破損や変形
- 内部のケーブルを断線
- 内部のケーブルを断線
iPhoneのDIY修理に挑戦したものの、失敗に終わるケースも少なくありません。どのような失敗例が多いのか、特に代表的なパターンをいくつかご紹介しましょう。
部品の紛失
iPhoneはコンパクトな本体にまとめるため、内部は非常に複雑な構成となっています。ネジひとつを例にとっても数mmにも満たないほど小型で、慎重に取り扱わないと紛失するリスクがあります。
一般的な家電製品であればホームセンターなどでサイズの合うネジを購入することもできますが、iPhoneに採用されている特殊な部品は一般に販売されていないため、修理そのものが続行不能になる可能性があるでしょう。
無理な力を入れて破損した
iPhoneを分解したり組み立てる際に無理な力を加えると、本体の一部変形・破損する可能性があります。
特にフレームと画面の接合部やコネクタ周り、内部基盤はデリケートであるため慎重に扱う必要があります。
内部のケーブルを断線させた
iPhoneの内部にはさまざまな配線処理が施されており、非常にデリケートです。
たとえば、バッテリー交換の作業中に配線を無理に引っ張ったり、曲げたりすると断線する可能性があることからケーブルの取り扱いには特に慎重さが求められます。
元の状態に戻せない
iPhoneに限らず、修理の基本は分解した後に元の状態に戻すことです。
しかし、修理作業中にネジを締め忘れたり、異なる場所のネジを締めてしまったりすると部品の数が合わず元の状態に戻すことが難しくなります。
このようなミスは作業マニュアルを熟読しないまま修理作業を進めた場合に起こりがちなため、なんとなくの勘や感覚に頼って作業を行うことは危険です。
iPhoneのDIY修理に失敗した場合Appleに修理は出せる?
iPhoneのDIY修理に挑戦してみたものの、万が一失敗に終わってしまった場合、Appleへ修理を依頼することは可能なのでしょうか。
DIY修理のデメリットの部分でも簡単に紹介しましたが、結論からいえば保証サービスを受けられなくなるためAppleでの修理は断られる可能性が高いでしょう。
ユーザー自身および正規の修理業者以外がiPhoneを分解し何らかの作業を行った場合、不正改造とみなされてしまうためです。また、そのような作業を行った過去がある場合には、Appleへ修理を依頼する時点で申告いただく義務もあります。
これらはAppleが定める修理規約「1.11.6 不正改造およびApple以外によるサービスの開示」にも明確に定められており、Appleは修理を行うことなくそのままの状態で返却することがあるとしています。
ちなみに、DIY修理のメリットの部分のなかで、ガラスパネルの交換には4万円以上の費用が発生すると紹介しましたが、AppleCare+へ加入していればわずか3,700円での修理が可能です。そのため、まずはAppleCare+への加入を確認いただき、加入中であればAppleStoreやApple正規サービスプロバイダ、またはApple公式のサポートへ修理を依頼するのがベストな方法といえるでしょう。
iPhoneのDIY修理に失敗したときの対処法
iPhoneのDIY修理に挑戦したものの、失敗に終わってしまった場合はどのような方法でリカバリーすれば良いのでしょうか。
上記で紹介した通りAppleでの修理は断られる可能性が高いため、最終手段として修理専門業者へ相談する方法があります。
部品の紛失や修理作業に伴う破損、断線、元の状態に戻せなくなったなど、状態や症状に応じてリカバリーができる可能性があります。
もちろん、破損の程度や内容によってはリカバリーが不可能なケースがあったり、修理費用が高額で買い替えをしたほうがお得な場合もあるでしょう。
しかし、修理専門業者へ依頼することで解決できることも多いため、まずは一度相談してみることがおすすめです。
iPhoneのDIY修理失敗を復旧するためにかかる費用
iPhoneのDIY修理の失敗をリカバリーするためにはどの程度の費用がかかるものなのでしょうか。
大前提として、DIY修理の失敗と一口にいっても状態はさまざまなため、一概に費用を断定することはできません。実際にDIY修理失敗のリカバリーに対応している修理専門店でも、個別見積もりが必要である旨が記載されていることがほとんどです。
ただし、たとえばガラスパネルの交換作業に失敗し、内部基盤や外装の損傷がなければ通常の交換修理と同様の費用で済む場合が多いでしょう。
そのため、DIY修理の際には万が一失敗した場合に備え、修理箇所以外に損傷や破損の範囲を拡大させないよう慎重に作業を行うことが大切です。
DIY修理はリスクを理解し自己責任のもとで慎重に
今回ご紹介してきた通り、DIY修理はAppleへ修理を依頼した場合に比べて大幅にコストを節約できるほか、交換用パーツさえ入手できればその場で作業に着手できるというメリットがあります。
その一方で、交換作業に失敗するリスクや保証サービスを受けられなくなるというデメリットもあり、これらを十分に理解したうえで自己責任のもとで行ってください。
AppleCare+への加入状況によっては、DIYと同等の安価な費用で修理ができる可能性もあることから、保証内容を考慮したうえで最適な修理方法を検討してみましょう。