iPhoneのフレームの歪みはなぜ起こる?修理にかかる費用や正しい対処法も解説
iPhoneは毎年のモデルチェンジのたびに進化を繰り返し、軽量かつ頑丈な本体に仕上がっています。しかし、コンクリートやアスファルトなど硬い地面の上に落下させてしまうと、本体が傷ついたり画面が割れたりすることも少なくありません。これらに加えて、意外と見過ごされやすいのがフレームの歪みです。
本記事では、iPhoneのフレームの歪みとはどういった症状なのか、歪みが生じる原因やリスク、修理をするためにかかる費用なども詳しく解説します。
目次
iPhoneのフレームの歪みとは?
iPhoneにはさまざまな故障や不具合が生じることがありますが、フレームの歪みはあまり耳にしたことがない方も多いのではないでしょうか。
そもそもiPhoneのフレームとは、音量ボタンやライトニング端子、電源ボタンなどがある縁の部分を指し、ここに物理的な衝撃や圧力などが加わることで歪みが生じます。iPhoneのフレームの歪みは、大きく分けて以下の3パターンに分類されます。
歪みの3パターン
- 凹み・変形
- 反り
- ねじれ
凹み・変形
凹み・変形とは、その名の通りフレームの一部が傷つき、形状が変わることを指します。そもそもiPhoneの筐体にはアルミニウムが採用されており、軽量化に大きく貢献しています。しかし、このアルミニウムという素材は鉄やその他の金属に比べて衝撃に弱く、傷ついたり変形しやすいという特徴をもっています。
通常使用において人間の握力や力では簡単に変形することはありませんが、外部から強い衝撃が加わると凹んだり変形したりすることがあるのです。
凹み・変形の原因
凹みや変形の原因として特に多いのは、iPhoneの落下による衝撃です。丁寧に扱っているつもりでも、手が滑って落下させたり、何らかのタイミングでポケットやバッグから落下したりすることもあるでしょう。このときにコンクリートやアスファルト、フローリングなどの硬いものの上に落としてしまうと凹みや変形が生じてしまいます。
iPhone用のケースやバンパーなどを装着していれば、ある程度の衝撃を緩和することもできますが、頻繁に落下させてしまうと衝撃が蓄積され、徐々に凹みや変形をもたらすこともあります。
反り
反りとは、iPhoneのフレーム全体が表の方向または裏の方向に曲がり変形することを指します。凹みや変形は瞬間的に大きな衝撃が加わった際に生じることが多いですが、反りの場合は長い時間をかけて徐々に変形していくケースが多い傾向にあります。
毎日のようにiPhoneを使用していると、反りが生じていることに気づかないという方も少なくありません。
反りの原因
反りが起こる主な原因として考えられるのは、ポケットにiPhoneを入れたまま圧力がかかることです。たとえば、iPhoneをズボンのポケットにしまった状態で座ったり、しゃがんだりした経験はないでしょうか。このとき、ポケットの内部には強い圧力が加わっています。
このような動作を日常的に繰り返していると、iPhoneのフレームは少しずつ圧力によって変形していくことがあります。
ねじれ
ねじれとは、iPhoneのフレーム全体が左右いずれかの方向に曲がり変形することを指します。反りが上下いずれかの方向に曲がるのに対し、ねじれは左右に曲がるという違いがあります。
ねじれが生じるメカニズムは反りと同様で、徐々に変形していくことが多いため、iPhoneの使用者は異常に気づかないことも多いです。
ねじれの原因
ねじれの原因も反りと同様で、iPhone本体に強い圧力が継続的にかかることで生じやすくなります。
特に、デニムやスキニーパンツなどタイトなズボンを履いている状態でポケットにiPhoneを収納すると、さまざまな方向から圧力が加わり、ねじれを引き起こすことがあります。
iPhoneのフレームが歪むことで起こるリスク
iPhoneのフレームがわずかに歪んでいたとしても、しばらくは正常に使い続けることができます。しかし、だからといって歪みを直すことなく使い続けていると、さまざまな不具合が生じる危険性もあります。具体的にどういったリスクが考えられるのか、いくつか代表的な例を紹介しましょう。
- 液晶そのものが故障し、ディスプレイの不具合につながる
- 本体に隙間ができ内部に異物が侵入する
- 音量ボタンやライトニング端子がしようできなくなる
- 歪みを指摘され修理費用が高額になる
ディスプレイの不具合につながる
iPhoneのフレームが歪むということは、ある一方に対して無理な圧力が加わることも意味します。特に影響を受けやすいのがディスプレイの不具合です。
ディスプレイ表面に施されているガラスにヒビが入ったり、割れたりする可能性があるほか、最悪の場合液晶そのものが故障し画面表示が消えてしまうケースもあるのです。ディスプレイのヒビや割れは強い衝撃が加わることで生じる場合が多いですが、それ以外にも圧力が継続的に加わることで不具合につながるリスクが生じます。
内部に異物が侵入する
iPhoneのフレームに反りやねじれが生じると、筐体部分からディスプレイが浮き上がったり、本体に隙間ができたりすることもあります。iPhoneの内部には基盤が存在し、そこにさまざまなチップが埋め込まれています。しかし、フレームの歪みによって浮き上がりや隙間ができると、そこからホコリや水分などの異物が侵入してくることもあるでしょう。
その結果、iPhoneの故障や不具合が発生し、画面表示の無効化や操作そのものができなくなる危険もあります。
端子やボタンが正常に反応しなくなる
iPhoneの側面には音量ボタンやライトニング端子などがあり、精密に作られています。しかし、フレームに歪みが生じるとボタンが押下できなくなったり、ライトニングケーブルを差し込めなくなったりすることもあります。
その結果、たとえば電源をオフにしたいのにボタンが押せない、あるいはライトニングケーブルが挿入できず充電不能になる、音量をコントロールできなくなるといった事態も想定されるでしょう。
修理費用が高額になる
知らないうちにiPhoneに反りや歪みが生じていると、修理に出したときにフレームの歪みを指摘され、修理費用が当初よりも高額になる可能性があります。
たとえば、ディスプレイのヒビや割れの修理、バッテリーを交換したいだけなのに、フレームが歪んでいると修理メニューが追加されてしまいます。また、あまりにもフレームの歪みがひどい場合には、本体そのものを交換しなければならない可能性もあり、保存データが消去されてしまったり、買い替えに高額な費用がかかるリスクもあるでしょう。
iPhoneのフレームの歪みは修理できる?
知らないうちに凹みや変形、反り、ねじれなどが生じていた場合、iPhoneを修理することは可能なのでしょうか。
まず、Appleが公式で行っている修理メニューのなかで、フレームの歪みにあたるのは「その他の損傷」です。この場合、歪みの程度によっても修理内容は変わってきますが、基本的には本体の交換となる可能性があります。そのため、事前にバックアップをとっておくなどデータが消去されないような対策が必要です。
また、Apple以外のiPhone修理専門業者でもフレームの歪みは直せる場合があります。専門業者の場合、軽微なフレームの歪みであれば本体交換はせず、慎重な作業によってフレームの歪みを修正していきます。ただし、すべてのケースにおいてフレームの歪みが直せるとも限らず、その他の修理箇所や本体の状況によっては対応が難しいケースもあるでしょう。
なお、フレームの歪みを修理する際の修理費用は以下の通りです。
修理料金の比較表
モデル | アップルストア・Apple正規サービスプロバイダ | iPhone修理専門店 |
---|---|---|
iPhone 14 Pro Max | 107,800円(AppleCare+未加入) 12,900(AppleCare+加入) | 3,000円程度~ |
iPhone 14 Pro | 99,800円(AppleCare+未加入) 12,900(AppleCare+加入) | 3,000円程度~ |
iPhone 14 Plus | 92,400円(AppleCare+未加入) 12,900(AppleCare+加入) | 3,000円程度~ |
iPhone 14 | 82,800円(AppleCare+未加入) 12,900(AppleCare+加入) | 3,000円程度~ |
iPhone 13 Pro Max | 92,400円(AppleCare+未加入) 12,900(AppleCare+加入) | 3,000円程度~ |
iPhone 13 Pro | 83,800円(AppleCare+未加入) 12,900(AppleCare+加入) | 3,000円程度~ |
iPhone 13 | 68,800円(AppleCare+未加入) 12,900(AppleCare+加入) | 3,000円程度~ |
iPhone 13 mini | 59,400円(AppleCare+未加入) 12,900(AppleCare+加入) | 3,000円程度~ |
iPhone 12 Pro Max | 92,400円(AppleCare+未加入) 12,900(AppleCare+加入) | 3,000円程度~ |
iPhone 12 Pro | 83,800円(AppleCare+未加入) 12,900(AppleCare+加入) | 3,000円程度~ |
iPhone 12 | 68,800円(AppleCare+未加入) 12,900(AppleCare+加入) | 3,000円程度~ |
iPhone 12 mini | 59,400円(AppleCare+未加入) 12,900(AppleCare+加入) | 3,000円程度~ |
iPhone SE(第3世代) | 44,000円(AppleCare+未加入) 12,900(AppleCare+加入) | 3,000円程度~ |
iPhoneのフレームの歪みは自分で修理できる?
iPhoneの修理についてネットの情報を調べてみると、ユーザー自身が修理する方法を紹介していたり、ECサイトでは専用のキットなども販売されています。
しかし、結論からいえばこれらの方法はおすすめできません。iPhoneを修理するということは、専用工具などを使用してパーツを分解するということであり、高度なスキルが要求されます。
Webサイトに記載されている手順や説明書を見ながら挑戦しても、微妙な力加減や工具の扱い方で内部の基盤を傷つけるリスクがあるほか、万が一失敗してもAppleの保証が受けられなくなります。
また、日本には電波法とよばれる法律があり、「技術基準適合証明(技適マーク)」に適合していない無線機器(携帯電話など)を使用すると違法となります。メーカーまたは登録修理業者以外が修理をすると技術基準適合証明が無効になる場合があり、取り締まりの対象となるリスクがあるのです。
様々なデメリットがあることから、iPhoneの修理は自分自身で行うよりもメーカーまたは専門業者へ依頼するのがベストといえるでしょう。
iPhoneのフレームの歪みを防ぐためにも正しい使い方を心がけよう
今回紹介してきたように、iPhoneのフレームの歪みは強い衝撃や無理な圧力をかけることによって生じることがほとんどです。
バッテリーの性能低下のような経年劣化とは異なり、細心の注意を払いながら正しい使い方を心がけておけば防げるものです。具体的には、頑丈なケースに入れて使用することはもちろん、ズボンのポケットではなく上着のポケットに収納しておく、バッグに入れておくなどの対策が有効です。
万が一フレームの歪みが生じた場合には、電波法遵守の観点からも自分自身で修理するのではなく、AppleまたはiPhone修理専門業者へ相談・依頼することを心がけましょう。