iPhoneは将来コネクタレスになる?考えられる可能性と懸念点も解説

iPhoneは将来コネクタレスになる?

iPhoneシリーズは毎年新機種をリリースし、そのたびに新たな機能が追加されています。しかし一方で、新機能が追加されるばかりではなく、変更された機能や無くなっていった機能も存在します。Appleはここ数年、ワイヤレス給電に対応したiPhoneを開発していますが、これは将来的にLightningコネクタを排除しコネクタレスにするための布石なのではないか、という憶測も囁かれています。

今回の記事では、iPhoneシリーズのインターフェースの歴史を振り返るとともに、本当にコネクタレスになる可能性があるのか、もしiPhoneがコネクタレスになった場合の問題点や懸念点などもあわせて解説します。

iPhoneシリーズにおけるインターフェースの歴史

iPhoneシリーズにおけるインターフェースの歴史

iPhoneシリーズはこれまで、幾度となく外観のデザインを刷新してきましたが、同時にインターフェースもさまざまな変更が加えられてきました。まずは、これまでのiPhoneシリーズにおけるインターフェースの歴史を振り返ってみましょう。

DOCKコネクタからLightningコネクタへの変更

2012年秋、iPhone4sから新型のiPhone5が登場したタイミングで、それまで充電用端子として採用されてきたDOCKコネクタからLightningコネクタとよばれる新しい規格に変更されました。DOCKコネクタはiPhoneが登場する以前からiPodシリーズにも採用されてきたインターフェースですが、長い歴史に幕を閉じ、新たに8ピンから成るLightningコネクタが採用されたのです。

併せて読みたい記事新型のインターフェースが採用されたことにより、それまで使用し続けてきたDOCKコネクタのケーブルをLightning対応のケーブルへ買い換える必要があり、特に車載用や仕事用などで複数の充電器を揃えたユーザーからは不評の声が上がることになりました。

しかし、その一方でLightningコネクタそのものは30ピンのDOCKコネクタよりもコンパクトで、端子の差し込み方向は上下共通のため利便性は高く、メリットの大きいものでした。

イヤホンジャックの廃止

2016年に登場したiPhone7は、iPhoneシリーズ初の防水防塵に対応した一方で、3.5mmイヤホンジャックが廃止されました。iPhoneをミュージック再生機として利用するユーザーも多く、ヘッドホンの音質にこだわる方も少なくありません。そのため、これまで愛用してきたヘッドホンやイヤホンがiPhoneで使えなくなったと不満の声を挙げるユーザーもいました。

しかし、iPhone7の登場と同じタイミングでAirPodsとよばれるワイヤレスイヤホンも登場し、今やiPhoneに限らずスマートフォンユーザーにとっては有線のヘッドホンよりもワイヤレス対応の製品が主流になっています。

ホームボタンの廃止

2017年に登場したiPhone Xは、iPhoneのトレードマークともいえるホームボタンが廃止され、全面ディスプレイという革新的なコンセプトの製品に仕上がりました。同時にホームボタンでの指紋認証も廃止され、その代わりにFace IDとよばれる顔認証システムが新たに採用されました。

ホームボタンがなくなったことによって、一部のユーザーからは「使いづらい」「操作性に慣れない」などの声もありましたが、その後iPhone XSやiPhone XRなど、後継機種にもコンセプトは引き継がれ、今では一般的な仕様として定着しています。

ワイヤレス給電への対応

2017年に登場したiPhone8シリーズから搭載されたのが、ワイヤレス給電の機能です。外観として新たなインターフェースが追加されたようには見えませんが、内部にワイヤレス給電に対応するためのコイルが搭載され、ケーブルを接続しなくても専用のワイヤレス充電器に置けば充電が可能になりました。

ワイヤレス給電の機能はiPhone8と同時期に発売されたiPhone Xや、以降の後継機種にも採用され、現行のiPhone12シリーズではさらに「MagSafe」という磁力で固定する機能も追加されています。

今後iPhoneはコネクタレス仕様になる?

今後iPhoneはコネクタレス仕様になる?

今回の記事の本題である、「iPhoneはコネクタレスになる可能性はあるか?」について考察していきましょう。結論からいえば、これまでのiPhoneシリーズの歴史を振り返ってみても十分あり得ることです。iPhoneはこれまで、いかに無駄な機能を排除しシンプルな外観にするか、ということにこだわって端末を開発してきた歴史があります。その答えがイヤホンジャックの廃止であり、ホームボタンの廃止、そして小型のLightningコネクタへの変更だったのです。

しかし、現在はケーブルを接続してPCにデータを転送するよりもクラウドを利用するのが一般的であり、さらにワイヤレス給電の技術が発達すれば充電ですらケーブルが不要になります。iPhoneが登場した当時はデータのバックアップや充電のためにケーブルを差し込む端子は不可欠な存在でしたが、時代は変わり、今やインターフェースそのものの必要性が問われている状況にあるのです。

iPhoneがコネクタレスになった場合の影響と懸念される問題点

コネクタレスになった場合の影響と懸念される問題点

テクノロジーの発達によってiPhoneのコネクタが排除されても必要な機能は維持できることが分かりました。しかし、これらはあくまでも技術的に可能ということであって、使い心地や利便性という面で考えた場合にさまざまな懸念や問題点が浮上してきます。

充電効率が悪く遅い

もっとも大きな問題点として挙げられるのが、ワイヤレス給電は従来のケーブルによる給電と比べて充電効率が悪いことです。充電効率が悪いということは、満充電になるまでのスピードも遅いことを意味します。たとえば、就寝前に充電を忘れてしまい、朝の忙しい時間帯に少しでも充電しておきたい場面もあるでしょう。ケーブルであれば15分程度充電すれば通勤時間は持っていたのに、ワイヤレス給電だと数%程度しか充電できないということもあります。

アクセサリーが邪魔になる

ワイヤレス給電は充電器とiPhone側にそれぞれコイルがあり、電磁誘導によって充電を行う仕組みとなっています。しかし、充電器と端末の間に障害物があると、正常に充電ができないことも考えられます。現在、多くのiPhoneユーザーは専用のケースやスマホリングなどを装着しています。これらを装着した状態で充電器にセットした場合、アクセサリーが干渉して充電効率が極端に低下したり、最悪の場合は充電そのものができない可能性もあるのです。

充電のたびにアクセサリーを取り外して利用するというのは現実的ではなく、多くのユーザーが不満を抱くことになりかねません。

充電器買い替えの手間とコスト負担

iPhoneがコネクタレスになるということは、それまで利用してきた充電器やケーブル類が利用できなくなることも意味します。必然的にワイヤレス給電に対応した専用の充電器を買い換えなければならず、ユーザーにとっては経済的にも負担がのしかかってくるでしょう。

過去にはDOCKコネクタからLightningコネクタへの変更によってケーブルの買い替えが必要になったほか、イヤホンジャックの廃止にともなって有線のイヤホンからBluetooth対応イヤホンに買い替えた方も多いはず。コネクタレスになると、これと同じような混乱が生じる可能性は極めて高いです。

テクノロジーの進化とともに変わるインターフェース

テクノロジーの進化とともに変わるインターフェース

iPhoneが登場して10年以上が経過し、めまぐるしいスピードで本体のデザインやインターフェースの仕様は変わりました。iPhoneがコネクタレスの仕様に変わった場合に懸念される問題点を考慮すると、実際にインターフェースの仕様が変わるのはもう少し先になるかもしれません。しかし、少なくとも現行機種にワイヤレス給電やMagSafeなどの機能が搭載され始めているということは、コネクタレスへ変更する布石となっている可能性は極めて高いといえるでしょう。

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