iPhoneがクルマのキー代わりに?自動車用デジタルキーとは何か

自動車用デジタルキーとは何?

日本でiPhone3Gが発売されて10年以上が経過し、私たちのライフスタイルは一変しました。インターネットはパソコンで接続するものという常識は覆され、今や時間や場所にとらわれずオンラインでつながる社会が実現されています。

自動車の世界では、スマートフォンと接続して利用するカーナビが続々と登場していますが、新たなイノベーションとして注目されているのが自動車用のデジタルキーです。今回はiPhoneでも利用できるデジタルキーとはどのような仕組みのものなのか、これによって自動車の未来はどのように変わるのか詳しく解説していきます。

キーレスとデジタルキーの違い

キーレスとデジタルキーの違い

現在、多くのクルマは鍵穴に物理的にキーを差し込まなくてもドアの施錠ができたり、エンジンをかけたりといったことができます。これはキーレスエントリーシステムといって、その名の通り鍵を差し込む必要のない、便利な仕組みのものです。

キーレスエントリーシステムの仕組みは比較的単純で、ドアの施錠などを特定の電波に乗せて信号を送り、クルマ側はその信号を受信して機能するというもの。技術的にも難しいことはなく、コストもあまりかからないため安価なコンパクトカーや軽自動車などにも採用されるようになりました。

しかし、デジタルキーと聞くとキーレスエントリーシステムのようなものをイメージしがちで、実際のところ何が違うのかよく分からないという方も多いのではないでしょうか。キーレスエントリーシステムとデジタルキーの決定的な違いは、よりセキュアで安全なキーシステムを実現したことです。

デジタルキーが登録されたiPhoneを自動車に近づけると自動的にドアが解錠されるほか、所定の充電位置にiPhoneをセットするとデジタルキーを認識し、エンジンがかけられる状態になります。

万が一iPhoneを紛失したとしても、iCloud経由でiPhoneをロックしてしまえばデジタルキーも使用できなくなり、実質的にクルマを自力で動かすことはできません。家族で1台のクルマを共有する場合にも、わざわざスペアキーを渡したり、人数分のキーを複製する必要もなく、iPhone上でデジタルキーを渡すだけ。クルマのオーナーは必要に応じてデジタルキーの権限を追加したり削除したりできるため、友人や知人にクルマを貸す際にも活躍するはずです。

デジタルキーを実現するNFC技術

デジタルキーを実現するNFC技術

デジタルキーの開発にあたっては、NFC技術とよばれる非接触のテクノロジーが採用されています。NFCは日本語で「近距離無線通信」ともよばれ、身近な事例では交通系ICカードや非接触決済の電子マネーにも活用されています。NFCはソニーとフィリップスが共同で開発した技術であり、通信と認証までの時間が極めて短いことも大きなメリット。JRや地下鉄の改札で瞬時に多くの人をさばききれるのも、NFCの技術があるからこそ実現できているのです。

また、NFCは物理的な接触をすることなく認証が可能であるため、端末の故障率も極めて低く、維持やメンテナンスの面でも優れた効果を発揮します。クルマへの応用を考えると、キーを鍵穴に差す際に塗装や内装を傷つけてしまう心配もなく、耐久性の面でもメリットは大きいといえるでしょう。

デジタルキーが搭載されるクルマ

Honda e
画像引用元:Honda e

自動車業界でも大いに注目されているデジタルキーですが、2020年8月の時点で対応が発表されているのはBMWの「5シリーズ」と、ホンダが発売するEV「Honda e」の2車種のみ。BMWは今後5シリーズ以外にも、「1シリーズ」から「8シリーズ」および「X5」から「X6M」まで対応することを発表しており、2020年7月1日以降に製造される車種が対応となります。

「Honda e」はホンダが初めて手掛ける本格的なEV(電気自動車)で、ピラー部分にNFCが埋め込まれています。軽自動車ほどのサイズでコンパクトな自動車ですが、中に入ると横に広がるワイドなディスプレイが存在感を放ち、これまでの一般的な自動車とは全く異なる世界観を放っています。

現時点でデジタルキーが搭載されている、または今後搭載が決まっている車種は限定的ですが、今後キーレスエントリーシステムに代わる新しい仕組みとして、デジタルキーは多くのクルマに搭載され一般的なものになるはずです。

デジタルキーが開発された背景

デジタルキーが開発された背景
画像引用元:Honda e

従来のキーレスエントリーの代わりデジタルキーが開発された背景には何があるのでしょうか。
この疑問を解決するヒントが、先ほども紹介した「Honda e」に隠されています。「Honda e」のインパネ部分には12インチのワイド液晶が横に2枚連結されており、スマートフォンと連動してさまざまなコンテンツや機能が提供される仕組みとなっています。

動力も従来のエンジンではなく、100%電気によって動くものであり、もはや動く家電製品といっても過言ではありません。自動車メーカーが長年にわたって技術開発を行ってきた自動車の心臓部分であるエンジンは完全に取り払い、その代わりに超大容量のリチウムイオン電池と大型のモーターが搭載され、電力によって動いています。

これは自動車業界に極めて大きなインパクトを与えるものであり、クルマという工業製品のあり方やビジネスモデルまでもが変革する可能性を秘めています。今後自動運転技術が確立されると、さらにITデバイスとの連携や技術が欠かせないものになるでしょう。自動車とIT分野はこれまで、一見関連性が低いように考えられてきました。しかし、今後は両者が互いになくてはならない存在に発展していきます。それぞれをシームレスにつなぐための第一歩として、デジタルキーは多くのクルマに採用されていくと考えられます。

デジタルキーでクルマの未来はどう変わる?

デジタルキーによって安全でセキュアなキーの管理ができるようになると、今以上にレンタカーやカーシェアリングといったサービスが発展していく可能性があります。必ずしもキーを管理したり、受け渡す店舗を作る必要もなくなり、オンラインでキーの受け渡しが可能になるとタクシー感覚でスポット的に利用することもできます。
ユーザーにとっては高い利便性が実現でき、サービスを提供する側にとっては新たなビジネスモデルを考案するヒントにもなるのではないでしょうか。

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