iPhoneが衛星通信による「緊急SOS」に対応!利用条件や料金、使い方を解説

iPhoneが衛星通信による「緊急SOS」に対応!利用条件や料金、使い方を解説

iPhone修理歴7年、iPad修理歴5年のそこそこベテラン。とにかく「分解が趣味」という少し変わった修理マニア。ゲーム機やコントローラーなど様々な分解経験があるが、現在ではApple製品以外は触っていない。iPhoneならほとんどの修理が30分以内に対応可能。iPadもパネルやバッテリー交換なら1時間もあれば対応可能。7年間の修理経験を経た知識を元にiPhone大学の監修スタート。

旅行やアウトドアに出かけた際、携帯電話が圏外になり不安に感じたことはないでしょうか。特に登山や釣りなどでケガをして動けなくなったとき、通信手段が絶たれてしまうと救助を要請できず命を落とす危険もあるでしょう。

このような事態に備え、衛星通信による「緊急SOS」という機能がiPhoneに搭載されました。

通常のモバイルネットワークと衛星通信はどのような違いがあるのか、衛星通信を利用するための条件や料金、万が一に備えて覚えておきたい基本的な使い方について解説します。

衛星通信とは

衛星通信とは

私たちが普段利用している携帯電話は、地上に設置された基地局と通信をすることによって通話やデータ通信が可能となっています。

衛星通信とは、このような地上の通信インフラを使わずに、人工衛星を経由して通信する方法のことです。

基地局を経由する従来の携帯電話の場合、都市部や人口の多い平野部などであれば問題なく通信が可能ですが、海上や山間部などでは圏外となり連絡手段が失われることも少なくありません。

その結果、たとえば登山の際に道に迷い遭難したり、ケガで身動きがとれなくなった際に助けを呼ぶことができず、命を落とす危険も高まるでしょう。衛星通信の場合、人工衛星が基地局の代わりとして機能するため、地球上のどこでも通信が可能です。

海上や山間部はもちろんのこと、大規模災害によって地上の基地局や通信設備が被災した場合でも通話できるため、万が一の際の緊急通信手段として活用できます。

木村 篤士

これまでの衛星通信は、主に災害救援活動や軍事用として利用されることが一般的でしたが、近年では衛星通信対応のスマートフォンや料金プランも増えてきており、一般の利用者向けにもニーズが拡大しつつあります。

iPhoneで衛星通信を利用できる条件・料金

iPhoneで衛星通信を利用できる条件・料金

2022年からiPhoneにも衛星通信の機能が搭載されましたが、これまでは米国やヨーロッパなどの一部の国でしか利用ができませんでした。

しかし、2024年7月30日からは日本でも衛星通信による「緊急SOS」が利用できるようになりました。利用可能なモデルはiPhone14シリーズ以降に限定されます。

衛星通信が利用できるのはあくまでも緊急時のみで、衛星中継センターのスタッフがユーザーに代わって110番や119番などの緊急通報を行います。また、iPhoneにあらかじめ登録した緊急連絡先にメッセージを送ったり、位置情報を知らせたりすることも可能です。

気になる料金は、iPhone本体のアクティベーションから2年間無料となっていますが、それ以降について具体的な金額は発表されていません。

衛星通信による緊急SOSの操作方法

衛星通信による緊急SOSの操作方法

では、実際にiPhoneで衛星通信にアクセスし緊急SOSを利用する場合、どのような手順・操作が必要なのでしょうか。

緊急SOSを呼び出すためにはモバイルネットワークが圏外かつWi-Fiが利用できない状態が前提で、以下の2パターンがあります。

コントロールセンターからの操作方法
  1. コントロールセンターを開く(ホーム画面の右上から下にスワイプ)
  2. 右端のモバイル通信のアイコン(アンテナのマーク)をタップ
  3. 「衛星通信」をタップ
  4. 衛星通信機能を選択(緊急SOSまたは位置情報の共有)
設定からの操作方法
  1. 「設定」を開く
  2. 「衛星通信」をタップ
  3. 衛星通信機能を選択(緊急SOSまたは位置情報の共有)

デモ操作の方法・手順

衛星通信による緊急SOSは、普段私たちが利用している電話やデータ通信とは使い方が異なるため、万が一のときに操作方法が分からず手間取ってしまう可能性もあります。

そこで、iPhoneにはデモ操作の機能も搭載されており、あらかじめ操作方法を練習しておくことができます。

緊急SOSのデモ操作の手順は以下の通りです。

緊急SOSのデモ操作の手順
  1. コントロールセンターを開く(ホーム画面の右上から下にスワイプ)
  2. 右端のモバイル通信のアイコン(アンテナのマーク)をタップ
  3. 「衛星通信」をタップ
  4. 「デモを試す」をタップ
  5. 「緊急SOS」をタップ
  6. 「次へ」を2回タップ後、「衛星通信接続をテストする」をタップ
  7. モバイル通信を一時的にオフにする旨の警告が表示されるため「オフにする」をタップ
  8. 画面上の指示に従い衛星の方向にiPhone本体を向ける

木村 篤士

上記の手順で操作を行うと、衛星中継センターとのメッセージのデモ画面に遷移し、実際の場面を想定したやり取りを体験できます。

iPhoneで衛星通信を利用する際の注意点

iPhoneで衛星通信を利用する際の注意点

衛生通信は万が一の際に命をつなぐ連絡手段となり得ますが、いくつか押さえておきたいポイントもあります。いざというときに困らないよう、以下の注意点はしっかりと把握しておきましょう。

まずは緊急通報を試してみる

iPhoneの衛星通信は、あくまでもモバイルネットワークが圏外の状況下において110番や119番などの緊急通報が不可能な場合に提供されるものです。

ただし、iPhoneの画面上に「圏外」と表示されていても電波状況によっては通信が可能な場合もあるため、まずは通常通り緊急通報に発信してみましょう。

屋内では使用不可

地上の基地局を経由する通信の場合、屋内や地下でも利用できますが、衛星通信は屋外でなければ通信ができません。

また、衛生通信の電波は非常に繊細でわずかな障害物にも左右されるため、屋外であっても周囲に障害物があったり樹木が生い茂っている場所などでは、メッセージの送信に時間を要したり通信そのものが不能となる可能性もあります。

メッセージの送信にかかる時間としては、周囲に障害物がなく開けている場所であれば30秒程度が目安となりますが、樹木が生い茂っている場所などでは1分以上を要することもあります。

通話は利用できない

携帯電話の衛星通信と聞くと、衛星電話を連想する方もいるかもしれません。

しかし、iPhoneで利用できるのはあくまでも衛星中継センターとのテキストメッセージのやり取りか、緊急連絡先への位置情報の共有のみに限られます。

木村 篤士

家族や友人の携帯電話や固定電話、あるいは110番や119番に衛星通信経由で直接発信することはできず、一般的な衛星電話とは異なるサービスです。

衛星経由のロードサービスは日本国内で利用不可

Appleが公開している衛星通信のWebページを見ると、緊急SOSや位置情報の共有のほかに「ロードサービス」の表記もあります。

しかし、2024年11月の時点でロードサービスを提供しているのは米国のみに限られ、それ以外の国や地域では利用できません。

アウトドアや災害時に役立つ緊急SOS

アウトドアや災害時に役立つ緊急SOS

登山や釣りなどのアウトドアを楽しむ方にとって、衛星通信による緊急SOSは命を守るための重要なライフラインになるでしょう。

また、大規模災害のリスクが高まっている昨今においても、通信手段が絶たれた状況下で緊急通報を可能にする唯一の手段にもなり得ます。

まずはデモ操作をお試しいただき、緊急SOSの基本的な使い方をマスターしておきましょう。

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