iPhoneだけでなくAndroidスマホにも使われてる「リチウムイオン電池」って危ないの?
こんにちは!ライターのソラです!先日、Samsungがリリースした最新のGalaxy Note7について多くの発火、発煙のニュースが流れていました。リチウムイオン電池は過去の充電池よりも電池持ちが良かったり急速充電ができたりと高機能なものとしてガラケーから取り入れられています。しかし高機能なものにはリスクもあります。そのリスクが時として爆発・発火という事態を招くことがあるのです。今回はそんなリチウムイオン電池がなんとなく分かるような説明と、電池に関するトラブル、そしてトラブルの対処法を紹介したいと思います。
なんとなく分かる「リチウムイオン電池」
今回は主にiPhone等のスマホに利用されているバッテリーのことについて紹介しています。簡略的にリチウムイオン電池と書いていますが、正式名称は『リチウムイオン二次電池』と言います。電池の正極と負極(乾電池で言うとプラスとマイナス)の間をリチウムイオンが移動することで充電・放電をする充電池のことです。
高校化学で習うリチウムを用いて作られており、バッテリーの中には電極が2つと電池の性能を保つための「電解質」というものが含まれています。主に使われているリチウムは空気や水に接触すると急激に熱を出したり発火したり、最悪の場合爆発に至ることがある、とても反応性の高い物質です。そんな反応性が高い物質だからこそ、従来の充電池と違って高性能な機能を持っているのです。
【画像引用URL】http://michinokutrade.hateblo.jp/entry/2015/12/06/112614
iPhoneのバッテリーはこの構造を下の図のようなパッケージに封じ込めてあります。
細かい構造を知りたい方は工業系のサイトに記載してあるので調べてみてください。
リチウムイオン電池のメリット
このタイプの電池が使われるまでの充電式の電池には、ニッケル水素電池やニカド電池などが使われていました。しかしこれらの電池はリチウムイオン電池よりも貯められる電力が少なかったり、中途半端に充電すると容量が減る「メモリー効果」があったりしました。リチウムイオン電池はこれら従来の電池とは異なる色々なメリットがあるので現在多くの電子機器に利用されています。
これがアイフォンをはじめとするスマホに利用されている大きな要因です。エネルギーをたくさん貯めることができるので、従来の電池より小型でも長く使う事ができます。その性能のおかげでコンパクトな設計が必要となるスマートフォンに使う事ができるのです。
昔から使われていた充電池は、中途半端な充電と放電を繰り返すと、電池そのものの容量が減ってしまう「メモリー効果」という現象がありました。リチウムイオン電池にはこの現象が存在しないため、電池を使い切る前に充電して使っても電池の容量が減ることはありません。いちいち電池を使い切ってから充電しなくて良いのは大きなメリットですよね。
電池は放っておいても自然に溜まっている電力が放電されてしまいます。リチウムイオン電池はこの現象が他の電池と比べて少なく、ニカド電池や水素電池の約1/5程度とされています。特に電源をつけっぱなしにしている携帯電話なので、自然放電が少ないバッテリーが選ばれたわけですね。
アイフォンの場合には電池容量が80%になるまで高速充電ができるように設定されています。電池の残量がギリギリになっても少しの時間の充電で早く溜まるのはうれしいですね。
その他にも様々なメリットがありますが、便利な反面デメリットも存在します。続いてリチウムイオン電池のデメリットを紹介します。
リチウムイオン電池のデメリット
リチウムイオン電池のデメリットはほぼ1つだけです。それは「危険性が高い」ということ。メリットでも紹介した通り、多くのエネルギーをため込んでおくことができるのですが、その反面、ため込んだエネルギーが大きく、それが危険性に繋がっています。使われている素材そのものも水や空気と反応しやすいリチウムが使われているので、高温の状況下に長時間置いておくと発火する危険性を持っています。また充電をしっぱなしにすることで発熱、発火に至ることもあります。iPhone7は防水加工となっていますが、水の中では適切な動作や放電、放熱ができない可能性もあるので、性能を過信し過ぎると思わぬ事故に至る可能性もあるので注意しましょう。
リチウムイオン電池事件簿
危険性を持ったリチウムイオン電池なので過去にはいろいろな事故が起こっています。その一部を紹介します。
2006年に大阪のホテルで催されていた会議中にDELLのノートパソコンが突如発火した事件です。原因はPCに搭載されていたリチウムイオン電池の不良ということで、後にリコール騒動に発展しました。
会議の途中でパソコンが突然爆発とか怖すぎます!
【画像元:NHK】
同じく2006年にドコモとauのガラケー(当時はガラケーという言葉はありませんでしたが…)に使われていたバッテリーが異常に膨張し、バッテリーはもとより携帯電話そのものも変形させてしまうという事件が発生。最終的に1,000万台ほどの携帯電話が交換対象となる大きな騒ぎに発展しました。異常膨張で携帯電話が使えなくなるだけでなく、過熱・発火・破裂による火傷やじゅうたん・衣類の損傷などの事故が報告されています。
かなり有名な事件として覚えてる方も多いのではないでしょうか?私の昔使ってたガラケーのバッテリーもパンパンでしたよ!
【画像元:Wikipedia】
2013年に発生した、ボーイング製の旅客機である「787型機」に搭載されたリチウムイオン電池が発火した事件。これにより同型機すべてが世界中で運航停止になりました。現在はバッテリーの改善などにより787型機は運行を再開しています。
逃げ場のない空でバッテリーが燃え出すとか怖すぎます!
【画像元:ウォールストリートジャーナル】
2013年に発売されたiPhone5cのバッテリーが爆発して14歳の女の子が重度の火傷を負うという事件が起きました。ズボンのポケットに入れていて、そのまま端末の上に座ってしまったことが原因のようです。iPhoneに限らず他のスマホでもバッテリーは衝撃や圧力に弱いので、どのスマホでも起こり得る事故です。
スマホなんてポケットに入れっぱなしで普通に座るわ!というの私だけではないはず…
【画像元:9to5Mac】
最近ネットニュースなどでも盛んに報道されていますが、今年発売されたばかりのSamsung最新機種であるGalaxy Note7が立て続けに発火や爆発を起こす事件が発生しました。車の中に入れていたら爆発し、車が炎上、大破した事件が報道された数日後に、今度はガレージを全焼させる大規模な火災に発展したケースも報告されています。
日本ではリリース前だったのですが、外国から持ち込まれた端末が関空で発煙した騒動もありました。多くの事故を受けて、アメリカでは航空機への持ち込み禁止令が出され、持ち込んだ場合、懲役刑や罰金が科されるようです。この禁止令が出されたことによって、仕事や観光で外国に出国している間にGalaxyを国内に持ち込めなくなってしまった事例が報告されています。非常に高価な端末なのですが旅客機内への持ち込みが不可能なため、国内に戻って返金処理をしてもらうことができません。中のデータも外国では次の端末へ移行できないなんてことも起きてるようです。せっかく手に入れたGalaxyの最新端末を外国に置き去りにしなければいけないなんて、Galaxyユーザーは絶望の淵に立たされたことでしょう…。
これで日本でのGalaxy Note7の発売は相当難しくなったのではないでしょうか。何よりブランドイメージの悪化が深刻です…。Samsungの復活はいつになるのか…。
【画像元:FOX13】
【画像元:WMBF NEWS】
バッテリーの不具合解消法
その他にもバッテリーに関する事故やトラブルは数多く報告されています。やはり高いエネルギーを保存できるがゆえに、ひとたび不具合がおきると、そのほかの充電池と比べて被害が大きくなってしまうようです。iOSのアップデート失敗で充電が急にできなくなったり、電池の持ちが悪くなったりなんてこともあるみたいですね。
そんな時に2通りの方法を試すことで電池持ちが改善されることがあるようです。
iPhoneの不具合解消の基本「再起動」でバッテリーの不具合が解消することがあります。特に怪しいアプリを入れたり、ふいに電源が落ちてしまったりした際のシステムトラブルが解消されるので、それに伴ってバッテリーの不具合が改善するようです。
アップデート失敗によってバッテリーの持ちが著しく悪くなることがあります。また、急に電源が落ちてしまうという不具合も、初期化→復元で解消されることがあります。再起動しても直らなければ試してみると良いでしょう。
ただし、初期化するとデータは全て消えてしまうため、試す前にしっかりバックアップを取っておきましょう。
最終的にはバッテリー交換
再起動も初期化も効果が無い場合には、最後の手段としてバッテリーそのものを交換してしまいましょう。正規修理店ではiPhone丸ごと交換になりますが、そのほかの修理店では短時間でバッテリーだけを交換してもらえます。自力でバッテリー交換をするという手もありますが、うっかりバッテリーに穴を空けてしまうと、紹介したニュースのように爆発して最悪の場合、家が全焼してしまう可能性もあります。また、リチウムは人体に非常に有害なので、火事を免れても皮膚につくと危険です。また不用意に捨てると不法投棄になってしまう可能性があるので、捨てる場所の確保など全て準備万端にして、覚悟を完了した人だけが自力交換をするのが良いでしょう。
リチウムイオン電池の登場で携帯電話は薄く高性能になり、長時間使えるようになりました。その反面、衝撃や熱で発火・爆発が起こる可能性も併せ持つようになりました。ちょっとした爆弾を持ってるようなものです。落下や水没には最新の注意を払い、高温になるところに長い時間放置しない方が良いでしょう。
スマホを適切に使用して、安全なiPhoneライフを送りましょう。